雪の見える窓辺に置いた、湯気の立つ汁物と膝掛け
温かい食卓でひと息。春までに済ませたいことを、一つだけ思い浮かべます。
絵を大きく見る

年始に決めたことが、一月の半ばで早くも薄れかけていないでしょうか。

冬の土用は一月の中旬ちゅうじゅんに始まり、節分の日まで続きます。一年でいちばん寒い時期に、季節の切り替えの助走が重なっている区間です。

土用というと夏の鰻を思い浮かべる人が多いのですが、実際には春夏秋冬それぞれの終わりに置かれていて、一年に四回あります。冬のものはその四つ目。暦の一年を締めくくる位置にあたり、四回のなかでいちばん短い区間でもあります。

冬の土用入りがわかる3つのこと

  1. 一月十七日ごろから、節分の日まで。 明ければ立春りっしゅんで、暦のうえでは新しい一年です。
  2. 元の名前は「土旺用事どおうようじ」。 土の気が盛んに働く期間、という意味の言葉が縮まりました。
  3. 立春までの約十八日間です。 日付は太陽の位置から決まり、年によって少し変わります。

寒さの底と、重なっている

小寒しょうかんから立春の前日までを寒の内と呼びますが、冬の土用はその後半とほぼ重なります。つまり冷え込みが最も厳しい時期と、季節の継ぎ目が同じところに来ているわけです。

寒仕込かんじこみの味噌や酒、寒稽古かんげいこのように、この寒さをあえて使う習慣は各地に残っています。雑菌が動きにくく、低い温度でゆっくり発酵はっこうが進むため、仕込みに向いた時期とされてきました。一方で、体のほうは正月の疲れと冷えが重なりやすく、無理が利きにくい時期でもあります。

冬の土用にできる4つ

  1. 寒仕込みの味噌に興味があれば、作り方を調べる。 材料や容器、仕込んだ後の置き場所まで確かめます。
  2. 湯船に浸かる日を、週のうちに何日と決める。 決めておかないと流れます。
  3. 朝の飲み物を用意して、ひと息つく。 白湯さゆやお茶など、好みのものを選びます。
  4. 寝具しんぐや部屋の温度を見直す。 寒さが気になる場所があれば、掛け物や暖房を調整します。

立春までの時間を、鍛える側で使うか休ませる側で使うかは、その年の体調しだいでしょう。

春へ渡す前に、閉じておくもの

新年に決めたことが薄れ始めるのが、ちょうどこのあたりです。ただ、ここで計画を立て直すより、残っているものを片づけるほうがこの期間には向いています。

立春までに片づける4つ

  1. 年末年始に先送りした支払いや手続きを、一つだけ済ませる。 全部でなくて構いません。
  2. 返しそびれた連絡に、短くていいので返事を出す。 寒中見舞かんちゅうみまいの時期とも重なります。
  3. 普段の就寝しゅうしん時刻を予定表で確かめる。 夜に片づける用事が多ければ、翌日に回せるものを選びます。
  4. 立春以降にやりたいことを、日付だけ決めて書いておく。 中身は後から埋まります。

土のなかでは、外から見えないところで根が動いています。この期間を、そういう時間として受け取っておくと、動けない自分を責めずに済みます。

「土旺用事」という、元の名前

なぜ季節の変わり目に土が出てくるのか。ここは四回ある土用に共通する話なので、このページでまとめておきます。

古代中国で生まれた五行説ごぎょうせつでは、あらゆるものを木・火・土・金・水の五つで説明します。これを四季に当てはめると、春が木、夏が火、秋が金、冬が水となり、土だけが行き場を失います。四つの箱に五つのものは入りません。

そこで考え出されたのが、四季それぞれの終わりから少しずつ日数を分け、そこを土の受け持ちにするやり方でした。一年を五つに割ると一つあたり七十三日ほど。それを四つに分けると十八日あまりになります。これが、各季節の末尾に十八日前後の区間が置かれている算段さんだんです。

元の呼び名は「土旺用事」で、土の気が盛んになって働く期間、といった意味になります。これが縮まって土用になりました。夏の風物ふうぶつとして知られている言葉ですが、成り立ちの側から見れば、季節と季節をつなぐ継ぎ目のことです。

現在の暦では、太陽の位置で機械的に決まります。四立の手前十八度分、つまり太陽黄経たいようこうけいが二十七度・百十七度・二百七度・二百九十七度に達した時点が、それぞれの土用の入りです。

四回のうち、いちばん短い

同じ十八日と言われていても、四つの長さは揃っていません。太陽の見かけの動きは季節によって速さが変わるので、同じ十八度分を通り過ぎるのにかかる日数も揃わないからです。

暦の日付で数える土用の期間は、十七日、十八日、十九日のいずれかです。冬の土用も約十八日間を目安に、その年の入りと立春の日付を確かめると、予定を立てやすくなります。

慌ただしいのは、暦の都合だけではありません。年が明けてひと月足らず、仕事も生活も本調子に戻りきらないうちに、この期間は始まって終わります。節分と立春を過ぎれば、暦のうえでは新しい一年です。年の始まりを元日ではなくここに置く数え方もあるので、区切り直しの場所としては使い勝手のよい位置にあります。

温かい昼ごはんのあとに、一つ片づける

冬の土用を春への準備に使うなら、食事のあとに短い時間を取ってみます。年末年始に届いた書類をまとめる、返事をしたかった人へ連絡する。目についた用事を一つ済ませたら、次に開く日を決めておきます。

春の楽しみも一緒に考えてみてください。花を見に行きたい場所、久しぶりに会いたい人、始めてみたいこと。寒い日の食卓で予定を思い描くのも、季節が変わるまでの過ごし方です。

よくある質問

Q. 冬の土用はいつからいつまでですか

一月十七日ごろから、節分の日までです。立春の手前十八度分の地点に太陽が達した日が入りにあたるので、日付は毎年ほとんど動きません。

Q. 冬の土用にしてはいけないことはありますか

土を大きく動かす作業を避ける習ならわしがあり、その習わしに沿って日を選ぶ場合は、間日まびにあたる寅・卯・巳の日みのひを用います。

Q. 土用はなぜ土なのですか

五行説で四季に木・火・金・水を割り当てると、土だけが余ります。そこで各季節の終わりを土の受け持ちにした、というのが成り立ちです。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ「暦要項れきようこう 二十四節気にじゅうしせっきおよび雑節ざっせつ」
  • 五行説における四季への配当と土用の成り立ちに関する一般的な解説
  • 各種暦書れきしょにおける土用の期間の定義ていぎ(四立の十八度前)についての記述