夏の布を籠へ畳み、冬の上着を準備する秋の収納棚
夏物をしまう日と、冬の支度をする日を分けておく。
絵を大きく見る

秋にひと仕事を終えたのに、休む間もなく次の予定が始まっていませんか。

秋の土用は十月の下旬げじゅんに始まり、立冬りっとうの前日まで続きます。紅葉が里まで下りてきて、朝の冷え込みがはっきりしてくる頃です。

年に四度ある土用のうち、これがいちばん話題にならない区間でしょう。夏には鰻があり、冬には寒の内が控ひかえ、春には新年度の空気がある。それに比べて秋の土用には、これといった名物も行事もありません。 目立たないぶん、こちらの都合で使い道を決められる十八日でもあります。

秋の土用入りがわかる3つのこと

  1. 十月二十日ごろから、立冬の前日まで。 暦のうえの秋を締めくくる区間です。
  2. 霜降そうこうがすっぽり収まります。 節気せっきと土用が並走へいそうするため、節気の名前のほうが前に出ます。
  3. 辰の日に「た」のつくものを食べる、という言い方があります。 青いものでもよいとされます。

寒くなる前に、荷物を減らす

冬は蓄たくわえる季節です。その前に持ち物を軽くしておくと、寒さのなかで動く量が減ります。

秋の土用に片づける5つ

  1. 冷蔵庫と食品棚を見て、使い切るものと処分するものを分ける。 年末まで持ちません。
  2. 夏物をしまい、冬物を出す前に一度風に当てる。 湿気しっけを抜いてから収納します。
  3. 年末の予定表を開き、いま入れた予定を一つだけ外す。 十二月の自分が助かります。
  4. 返しそびれている連絡を、この期間のうちに片づける。 年をまたぐと出しにくくなります。
  5. 玄関と車のなかに、防寒のものを一つ移しておく。 急に冷える日は前触まえぶれなく来ます。

土用のあいだは土を大きく動かさないという言い伝えがあります。庭仕事でいえば、植え替えや掘り返しを控え、落ち葉を片づけたり支柱しちゅうを直したりといった手入ていれに回す時期です。壊して作り直すのではなく、いまある形を整えるほうへ寄せると、この期間の考え方と合います。

辰の日に、青いものを食べる

四回の土用には、それぞれ決まった干支えとの日に決まった色や音の食べ物を合わせる言い方があります。秋は辰の日に「た」のつくもの、あるいは青いもの。玉ねぎ、大根、たこ、鯖や鰯といった青魚あおざかなが挙げられます。

もっとも、この四季ぶんの対応表が広く紹介されるようになったのは近年のことで、古い暦書れきしょにさかのぼって確かめられる習慣ではありません。夏の丑の日うしのひだけが商あきないと結びついて残り、残りの三季は後から形を揃えて説明されるようになった、という順序で見ておくと実態じったいに近いと思います。

秋に旬を迎えるものを食べる口実としては、よくできています。青魚もきのこも根菜も、この時期に値段が下がって味が上がります。

収穫のあとに、休みを挟む順序

農事の暦では、刈り取りが済んだ田畑たはたをすぐ次の作付さくづけに使わず、しばらく寝かせる時間を挟みます。地力を戻すためで、休ませる期間そのものが作業の一部として組み込まれていました。

この順序は、人の一年にもそのまま当てはまります。成果が出たあとにいちばん起こりやすいのは、その勢いで次に取りかかることです。ただ、実際に消耗しょうもうしているのは走り終えた直後で、そこで休みを飛ばすと、冬に入ってから帳尻ちょうじりが合わなくなります。

ひと仕事を終えたあとにやる3つ

  1. 礼を伝える相手を書き出す。 記憶が新しいうちのほうが、言葉が具体的になります。
  2. 終わった案件の資料を片づけ、机の上を空にする。 目に入るものが減ると頭も静まります。
  3. 次に取りかかる日を、今日ではなく数日先に置く。 空白を先に確保してしまいます。

秋は仕事の期末や決算、学校の行事、催もよおしごとが集まりやすい季節でもあります。ひととおり終えたところで、次の予定がすでに埋まっている。そういう秋を過ごした人にとって、この十八日は数少ない空白の口実になります。

名物のない期間が、それでも残っている

ここから暦の側の話です。土用は五行ごぎょうの考え方から生まれた区分なので、四季それぞれの終わりに置かれること自体に理屈りくつがあります。秋だけ抜くわけにはいきません。

行事が育たなかったのは、この期間に人の手が空いていなかったからでしょう。十月下旬から十一月初旬は、稲刈いねかりが終わって脱穀だっこくや乾燥が続き、麦の種まきや冬野菜の支度したくが重なる時期でした。祭りの多くは収穫を終えた感謝として少し前に済んでいて、この十八日は次の段取だんどりに追われる合間あいまにあたります。名前を付けて祝う余地が、暦の側にも暮らしの側にもなかったということです。

霜降と、重なっている

暦のうえでの位置も、少し込み入っています。二十四節気にじゅうしせっきでいうと、この期間には霜降がすっぽり収まります。土用に入って数日で霜降を迎え、そのまま立冬まで両方が並走する形です。

同じ十八日に二つの区切りが重なっているので、暦の話をするときには節気のほうが前に出やすくなります。名前が知られにくい理由の一つは、そこにもありそうです。十八日が終われば立冬で、暦の一年でいえば最後の季節に入ります。

暮らしの中で試すなら

衣替ころもがえを一度に済ませにくいなら、先に薄い布物を一つの籠へ集めます。しまう前の手入れが必要なものは分け、冬物は翌朝使う上着から出します。収納の全部を入れ替える前に、今週使うものの場所が決まるだけでも、寒い朝の支度を始めやすくなります。

よくある質問

Q. 秋の土用はいつからいつまでですか

十月二十日ごろから、立冬の前日までのおよそ十八日間です。立冬の手前から逆算するため、始まりが年ごとに一日ぶん動きます。

Q. 秋の土用に行事がないのはなぜですか

農作業がいちばん立て込む時期に重なっていたためと考えられます。祝う余裕のない合間だったので、名前の付く行事が育ちませんでした。

Q. 秋の土用に間日はありますか

あります。作業をしてもよいとされる日で、秋は未・酉・亥の日がこれにあたり、工事や庭仕事の日取ひどりを気にする場合の目安として使われます。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ「暦要項れきようこう 二十四節気および雑節ざっせつ」
  • 五行説ごぎょうせつにもとづく土用の配当についての一般的な解説
  • 各季節の土用に結びつけられた食べ物に関する近年の紹介