
十一月の夜、熊手を並べる屋台に灯りがともる。酉の市へ出かける予定を立てていると、「今年は三の酉まである」と聞く年があります。
三の酉は、十一月に巡ってくる三度目の酉の日です。市が二度の年も、三度の年もあるのは、十二日ごとに巡る干支と、月の日数の組み合わせによります。
三の酉がある年、二の酉までの年
十一月に最初の酉の日が来ると、十二日後に二の酉、さらに十二日後に三の酉となります。三度目まで十一月に収まる年に、三の酉の市が立ちます。
2026年は11月7日と19日の二度。2027年は11月2日、14日、26日の三度です。出かけたい寺社の案内を見て、開催時間も一緒に手帳へ書いておくと支度ができます。
年内最後の市に出かけるころには、夜風も冷たくなっています。首元を温かくして、歩きやすい靴で。境内の灯りを眺めながら、新しい年へ持ち帰りたい熊手を探してみます。
火の用心を思い出す、季節の言葉
三の酉には「火事が多い」という言い伝えがあり、火の用心と結びつけて語られてきました。浅草の酉の寺・長國寺の解説では、冬に向かうころ、火への心構えを改める言葉として紹介しています。
同じ解説には、酉の市の帰りに吉原へ立ち寄る人を引き留めるためだった、という説も登場します。言い伝えをたどると、江戸の町の暮らしまで見えてくるようです。
長國寺では、三の酉がある年に「火除守り」を授与しています。火消しの纏に見立てた、小さなお守りです。
市から帰ったら、冬の支度を一つ
熊手を置く場所を整えたら、暖房器具の周りにも目を向けてみませんか。冬物の上着や、乾かしている洗濯物が近づいていたら、離れた場所へ移します。
家具の裏のプラグ、延長コード、火災警報器。家族と一緒に見て回る日を決めておくと、年末の支度にもなります。器具の掃除や点検は、電源を切り、それぞれの取扱説明書に沿って行います。
一度に家じゅうを済ませようとせず、今日は居間、週末は台所という分け方でも。暦の行事を、暮らしの道具を見直す目印にできます。
熊手を眺めて、今年を振り返る
飾りの細工や色を見比べるのも、酉の市の楽しみです。置く場所と予算を思い浮かべて、自分の家に似合う一つを選んでみます。
帰宅して飾ったら、今年うれしかったことを一つ。助けてくれた人や、続けてこられた仕事のこと。新しい年の願いと一緒に、今あるものにも目を向ける時間にしてみてください。
帰宅した夜の一言を、熊手と一緒に
熊手を飾ったら、その年に集まってうれしかったものを一つ思い出してみます。仕事で交わした言葉、訪ねてきてくれた人、続けた勉強のノート。形のあるものも、ないものも挙げられます。家族と出かけたなら、市で気になった細工や手締めの音を話してみましょう。写真に日付と短い感想を添えておくと、来年の市を迎えるころ、願いだけでなく、その年の暮らしの様子も振り返れます。
よくある質問
Q. 三の酉がない年は、いつ出かければよいですか
一の酉か二の酉から、予定の合う日を選びます。2026年は11月7日と19日です。開催する寺社の案内で、時間や参拝方法を確認してみてください。
Q. 火事の言い伝えは、どんなふうに受け止めよう
暖房を使い始めるころの「火の用心」として、家の中を見回すきっかけに。お守りを迎えた日と点検の日を合わせると、毎年思い出しやすくなります。
Q. 熊手は三の酉で買えますか
三の酉にも熊手の市が立ちます。出店や授与の時間を確かめて、気になる飾りを探してみてください。
出典
- 浅草・酉の市「吉原通いと三の酉」:三の酉と火の用心の言い伝え。
- 酉の寺・長國寺「火除守り」:三の酉の年の授与品。