朝の池に開く淡い桃色の蓮と、水滴の残る葉
暑さが強まる前の朝に、季節の花を見つける。
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暑中見舞しょちゅうみまいをいつから出せばよいのか、迷ったことはありませんか。

その答えを持っている節気せっきが小暑しょうしょです。読みは「しょうしょ」。同じ字の並びで「しょしょ」と読む処暑しょしょは八月下旬げじゅんの別の節気なので、混ざりやすいところです。

名前の「小」は、暑さが軽いという意味ではありません。まだ極まっていない、これから上がっていく段階を指しています。太陽の通り道を二十四に割った目盛めもりのうち、ちょうど百五度にあたる地点。七月七日ごろに来て、次の大暑たいしょの前日までのおよそ半月がこの節気の期間になります。

小暑がわかる3つのこと

  1. 暑中しょちゅうという区切りが、この日から始まります。 暑中見舞いを出せるのはここからで、立秋りっしゅうを過ぎると呼び方が残暑見舞ざんしょみまいに変わります。
  2. 梅雨明つゆあけが視野に入る頃合ころあいです。 平年の梅雨明けは、この節気の後半から次の節気にかけての時期に集まります。
  3. 同じ日に七夕が来ます。 節気は太陽の位置で決まり、七夕は日付で決まるので、毎年ほぼ並んで巡ってきます。

暑中見舞いを、片づけてしまう

夏の便たよりは、時期を逃すと出しづらくなります。小暑を思い出した日に段取だんどりだけ決めてしまうのが、いちばん確実な進め方です。

暑中見舞いを出すまでの4つの段取り

  1. 相手を五人までに絞ります。 数を増やすほど着手ちゃくしゅが遅れ、そのまま立秋を越えます。
  2. 文面は三行で組みます。 見舞いの言葉、近況の一行、相手の体を気づかう一行。それで形になります。
  3. その年の立秋の日付を先に調べます。 締切がはっきりすると、机の上の順番が変わります。
  4. 投函とうかんの日を、手帳に書き入れます。 書く日ではなく出す日を決めるほうが、机に残りません。

出し始める時期については、別の数え方も伝わっています。梅雨が明けてから、あるいは夏の土用に入ってから、という流儀りゅうぎです。どれも間違いではなく、小暑からとする数え方がいちばん広く使われていると考えておけば迷いません。

三行の便りを、一人に向けて書く

近況の一行は「最近どうですか」と広く尋ねるだけでなく、相手との間にある話題から選べます。以前一緒に歩いた場所を通ったこと、教わった料理を作ったことなど、実際にあった一場面を添える。最後に相手を気づかう言葉を置いたら、宛先あてさきと投函日まで決めます。人数を増やす前に一枚を出すと、夏の便りを机に残さずに済みます。

梅雨明け十日という言い方

山を歩く人のあいだで、梅雨明け十日という言葉が使われてきました。梅雨が明けた直後の十日ほどは、天気が安定して晴れが続きやすいという経験則です。夏山へ入る計画をこの時期に合わせる人もいます。

ただし近年は、明けたはずのあとに雨が戻る年も珍しくありません。目安として持っておく分にはよい言い方ですが、当てにして予備日を削るには向かないところがあります。

もうひとつ、この時期に気をつけたいのが日差しの変わり方です。厚い雲が取れると、地面に届く日射にっしゃは一気に増えます。体のほうはまだ暑さに慣れていないので、梅雨明け直後は、真夏よりも暑さがこたえるという声が多く聞かれます。急に長い距離を歩かない、日中の予定を朝夕へ寄せる。この半月は、そのくらいの用心で過ごすと後が楽になります。

体を、夏の側へ寄せておく

夏を越す支度したくは、暑さの頂点が来る前に済ませておくほうが軽く済みます。

  • 寝具しんぐを汗の抜けるものに替え、洗う間隔を決めておく
  • 冷房を我慢する日を作らず、設定温度のほうを見直す
  • 水だけでなく、塩気しおけのあるものを一緒にとる形にする

汗をかく機会を少しずつ作っておくと、体は夏向きに切り替わっていくとされます。梅雨のあいだ冷房の効いた場所で過ごした日が続いているなら、朝夕の涼しい時間に体を動かす日を何日か挟んでおくとよさそうです。

小暑・大暑・処暑は、どこが違うのか

「暑」の字を持つ節気は三つあります。並べると、それぞれの役割がはっきりします。

小暑はこれから強まる段階。大暑は暑さの頂点で、名前と体感がほぼ一致する数少ない節気です。そして処暑は、暑さがとどまり、退きはじめる段階を指し、あいだには立秋が挟まっていて、暦のうえの秋はそこから始まります。

三つとも「暑い」と言っているのに、指しているのは暑さの度合いではなく段階のほうです。上り坂、頂上、下り坂。二十四節気にじゅうしせっきが季節をどう見ていたかが、この三つの並びによく表れています。

温風至、蓮始開、鷹乃学習

小暑を三つに割った七十二候しちじゅうにこうは、風と花と鳥で書き分けられています。

はじめが温風至(あつかぜいたる)。吹いてくる風が涼しさを失い、熱を帯び始めるころです。次が蓮始開(はすはじめてひらく)。蓮の花は明け方に開いて昼過ぎにはしぼみ、それを何日か繰り返して散ります。花を見るなら早朝、というのはこの性質によるものです。

最後が鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)。巣立ちを控ひかえた幼い鷹が、飛び方や獲物の捕り方を覚えるころを指し、梅雨明けが近づく半月を、暦は温度と花と若い鳥の練習で描いていたことになります。

よくある質問

Q. 暑中見舞いを出しそびれたら、どうしますか

立秋を過ぎたら、残暑見舞いに切り替えて出せます。八月いっぱいを目安にする慣習かんしゅうが広く使われているので、届く時期を考えて文面の季節の言葉を選べば問題ありません。

Q. 小暑の日に決まった食べ物はありますか

節気そのものに定まった行事食はありません。同じ日に来る七夕の習ならわしとしてそうめんを食べる形が広く伝わっているので、この日はそちらに寄せる家庭が多いようです。

Q. 梅雨明けと小暑は関係がありますか

暦のうえの小暑は太陽の位置で決まり、梅雨明けは気象の判断で発表されます。時期は近くなりますが、別々の決め方をしているので、年によってずれます。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ「暦要項れきようこう」による二十四節気の定義ていぎと日付
  • 各種歳時記さいじきにおける七十二候(温風至・蓮始開・鷹乃学習)の記述
  • 暑中見舞いと残暑見舞いの時期の区切りについての一般的な慣習の解説
  • 梅雨明けの平年時期および夏山の天候についての気象資料の記述