
名前のとおりに暑い、数少ない節気です。
二十四節気には、立春のようにまだ寒い春や、立秋のようにまだ暑い秋が並びます。太陽の位置で季節を切るため、名前と体感が半月ほどずれるからです。ところが大暑だけは、その名と実際の気温がほぼ一致します。
暦を作った人たちの見立てと、現代の気象統計が同じ場所を指している。二十四節気のなかで、大暑はそういう位置にあります。
大暑がわかる3つのこと
- 時期は七月二十三日ごろから、立秋の前日まで。 およそ二週間の期間を指します。
- 夏の土用とほとんど重なります。 土用の丑の日にうなぎを食べるのは、この重なりの上の習慣です。
- 暑さの頂点は夏至の一か月後。 地面と海が熱をためこむのに時間がかかるためです。
暑さの頂点が、夏至の一か月後に来る理由
日が最も長いのは夏至です。届く日射の量だけを見れば、六月下旬が頂点になります。それなのに、いちばん暑いのは七月の終わりから八月にかけて。この一か月ほどのずれには、はっきりした理由があります。
地面も海も、受け取った熱をためこむのに時間がかかるからです。日射が減り始めても、しばらくは入ってくる熱のほうが出ていく熱より多い状態が続き、蓄えられた熱が空気を温め続けます。この遅れがおよそ一か月。大暑が夏至のちょうど一か月後に置かれているのは、偶然ではなく、観測を重ねて決めた結果と考えられます。
同じ理屈は冬にも働きます。日が最も短い冬至より、一か月あとの大寒のほうが寒い。暦の名前は、太陽の高さではなく、遅れて届く熱のほうを見て付けられているわけです。
土用の丑の日と、うなぎの話
夏の土用は立秋の前の十八日ほどを指すので、大暑の期間とほとんど重なります。土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は、この重なりの上に成り立っています。
土用の丑の日の由来として親しまれているのが、平賀源内とうなぎ屋の看板の逸話です。夏の商いを工夫する話として、今も語られています。うどんや梅干し、瓜など、「う」のつく食べ物を楽しむ習わしもあります。
- 土用のあいだは土を動かすのを避ける、という暦注もあります
- 土用干しといって、漬けた梅を三日三晩ほど天日に当てるのもこの時期です
- 暑中見舞いを出すなら、立秋の前日までが期間になります
打ち水は、撒く時間で効き方が変わる
暑さをしのぐ工夫として、江戸のころから続いているのが打ち水です。水が蒸発するときに地面の熱を奪うので、路面の温度が下がります。
打ち水をするなら、朝や夕方の日差しが弱い時間帯に、日陰へ。水が地面に長く残り、涼しさを保ちやすくなります。風呂の残り水や雨水などを使う方法も、環境省が紹介しています。洗剤を多く含む水は避け、通る人が滑らない場所で行います。
夕方の影を見て、撒く場所を決める
打ち水の前に、玄関先や庭のどこに影ができているかを眺めてみます。朝は日陰だった場所にも、夕方には日が当たっているかもしれません。家族がすぐ通る場所や荷物を置く場所を避け、撒いたあとに道具を片づけるところまで考えておきます。終わったら少し離れて、石や土の色が変わった様子を見てみてください。水の跡と伸びる影が、夏の一日の終わりを目に見える形で知らせてくれます。
削ることを、先に決めておく
この時期に元気でいるこつは、増やすより減らすことにあります。
消耗を減らす4つ
- 予定を三つ入れる日を、二つにしておく
- 昼の移動をやめて、朝か夕方に寄せる
- 火を使う調理を、一日一回減らす
- 眠れなかった日の翌日に、あらかじめ余白を置く
行動量ではなく、消耗の総量を管理する期間だと考えると動きやすくなります。
暑さで疲れた日は、涼しい部屋で休む時間を先に。室温を見て冷房を使い、こまめに水分を取ります。買い物を朝に済ませる、食事の支度を少し簡単にするなど、暑い時間に動く用事を減らしてみてください。
桐の実と、夕立の候
大暑を三つに割った七十二候は、この時期の空気をよく写しています。
はじめが桐始結花、桐が花のあとに実を結ぶころ。次が土潤溽暑、地面が湿って蒸し暑くなるころ。最後が大雨時行で、大きな雨がときどき降る、つまり夕立の候です。
入道雲が立ち上がり、午後に一雨きて、そのあと少しだけ空気が軽くなる。天気予報のない時代に、この十五日をそう区切っていたことが分かります。
大きな夏祭りが各地で行われるころでもあります。出かける日は、日陰で休める場所や帰りの交通を調べておくと安心です。昼の強い日差しを避け、体調に合わせて楽しむ時間を選んでみてください。
暦では夏の終わりへ向かうころでも、暑い日は続きます。天気予報を見ながら、今日の気温に合う支度で過ごしましょう。
よくある質問
Q. 大暑と土用の丑の日は同じ日ですか
別の日です。大暑は太陽の位置で決まり、丑の日は十二支の巡りで決まり、同じ時期に重なるため、近い日に並びます。
Q. 打ち水はいつ撒くのが効きますか
朝のうちか、日が傾いてからです。真昼に撒くとすぐ蒸発して湿度だけが上がり、蒸し暑く感じることがあります。
Q. 大暑を過ぎたら涼しくなりますか
すぐには変わりません。八月に入っても暑さは続きますが、暦のうえではここが頂点にあたります。
出典
- 国立天文台 暦計算室「暦要項 二十四節気および雑節」
- 各種歳時記における七十二候(桐始結花・土潤溽暑・大雨時行)の解説
- 環境省「夏の風物詩『打ち水』のコツ」
- 厚生労働省「熱中症予防のために」