秋の境内で、着物姿の子どもに靴を履かせる親
参拝と写真のあいだにも、歩きやすく休める時間を。
絵を大きく見る

着物と写真の予約から先に決めて、当日の段取だんどりが後回しになっていませんか。

七五三しちごさんは、子どもがその年齢まで育ったことを氏神うじがみへ報告し、これからの健やかさを願う行事です。氏神とは、その子が暮らす土地を守る神社のことをいいます。晴れ着を着せて参り、祈祷(きとう)を受ける形が一般的でしょう。祈祷は、神職しんしょくが神前しんぜんで願いを申し上げてくれる儀式です。

十一月十五日が本来の日にあたりますが、実際には十月から十二月にかけて分散しています。 三つの数字が並んでいるのは、もともと別々の儀式だったからです。それぞれ意味も対象も違っていたものが、後になって一括ひとくくりに呼ばれるようになりました。

七五三がわかる3つのこと

  1. 数え年でも満年齢まんねんれいでも祝えます。 神社の側もどちらでも受け付けるところがほとんどです。
  2. 十一月十五日でなくてかまいません。 前後の週末に分散するのが普通で、平日にずらす家も増えています。
  3. 参拝さんぱいと写真は、別の日でも差し支えありません。 一日にまとめると、三歳の子には負担が大きくなります。

数え年か、満年齢か

いちばん迷いやすいのがここです。本来は数え年で、生まれた年を一歳とし、正月ごとに一つ加えます。ただし現在は満年齢で行う家庭が多く、どちらで行っても間違いということはありません。

  • 兄弟姉妹をまとめて祝いたいなら、数え方を都合のよいほうに揃えます
  • 三歳は満年齢のほうが、着替えや移動に耐えられることが多くなります
  • 七歳はどちらでも、本人の希望を聞ける年齢になっています
  • 祖父母そふぼの意向が強いなら、先に確かめておくと当日もめません

地域によっては数え年を守る土地もあります。迷ったら、参る予定の神社に尋ねるのが早い方法です。

日取りを決める4つの目安

  1. 祈祷の予約が要るかどうかを、まず確かめます。 予約制の社が増えていて、十一月の週末は早い時期に埋まります。
  2. 十一月十五日前後の週末を外すかどうかを決めます。 混雑を避けたいなら、十月や、十一月の平日が動きやすくなります。
  3. 写真を別の日に回すか決めます。 前撮まえどりにすると、参拝当日は着替えの回数が減ります。
  4. 昼食と昼寝の時間を先に押さえます。 子どもの機嫌は、たいていここで決まります。

当日は、主役の機嫌を最優先にする

着慣れない衣装、慣れない場所、知らない大人。三歳の子にとっては、かなりの負担がかかる一日です。

着替えと食事の時間を長めに見ておくと、予定が崩れにくくなります。草履ぞうりで歩ける距離には限りがあるので、履き慣れた靴を持っていくと移動が楽になります。途中で機嫌が悪くなっても、それを失敗だと考えなくてよいのです。写真の枚数より、本人が神社を嫌いにならずに帰れるかどうかのほうが、後々効いてきます。

祈祷を受けるときには初穂はつほ料を納めます。神社に納めるお金の呼び名で、金額を明示している社もあれば、目安を尋ねると教えてくれる社もあります。のし袋に入れて渡すのが一般的です。

着替えと移動を、一度つなげて考える

家を出てから参拝を終えるまでを順に書き、草履で歩く区間と靴に替える場所を考えておきます。履き慣れた靴は、荷物の奥へ入れず、すぐ取り出せる袋にまとめる。付き添う大人が複数いるなら、荷物を持つ人と子どもの着替えを見る人も相談しておくと動きやすくなります。写真を撮る時間だけでなく、休む時間まで含めて一日の形を決める支度したくです。

千歳飴が細長い理由

七五三といえば、あの長い袋です。千歳飴ちとせあめは紅白の棒状ぼうじょうの飴で、鶴亀つるかめや松竹梅を描いた袋に入れて授けられます。

千歳は千年、つまり長生ながいきを指します。飴を細く長く伸ばした形そのものが、寿命じゅみょうが長く伸びることの見立みたてです。 江戸のころには売られていたとされ、七五三が全国的な行事になるより前から存在していました。

長いまま食べきらなくても構いません。折って分けても縁起えんぎが落ちるという話は特にないので、小さい子には割って渡して差し支えないでしょう。余った分を煮物の砂糖代わりに使う人もいます。

もとは三つの別々の儀式だった

ここからは由来です。七五三という一つの行事にまとまる前、三つの年齢にはそれぞれ別の名前の儀式がありました。

三歳の髪置き(かみおき)は、髪を伸ばし始める節目ふしめです。当時は乳幼児にゅうようじの髪を短く剃っておく習慣があり、三歳を境に伸ばしてよいとされました。男女どちらも対象です。

五歳の袴着(はかまぎ)は、初めて袴をつける儀式です。地域や時代によって差はありますが、現在は男の子の節目として扱われることが多くなっています。

七歳の帯解き(おびとき)は、紐で結ぶ子ども用の着物から、大人と同じように帯を締める着物へ移る儀式です。こちらは女の子の節目とされます。

三つとも、着るものが変わる場面である点は共通しています。髪、袴、帯。身なりを一段上げることで、社会のなかでの扱いも変わっていく。乳幼児が育ちきらないことの多かった時代に、無事に通過したしるしとして置かれた区切りでした。

十一月十五日に落ち着いたいきさつ

日にちがこの一日に定まった経緯けいいは、はっきり一つに決まっていません。よく挙げられるのは二つです。

ひとつは、陰陽道おんみょうどうで十一月十五日が鬼宿日(きしゅくにち)にあたり、一年でも指折ゆびおりの吉日きちじつと考えられていたという説。もうひとつは、五代将軍徳川綱吉とくがわつなよしが息子の徳松とくまつの祝いをこの日に行い、それが広まったという説で、どちらも決定的な証拠が示されているわけではなく、並べて語られるのが通例つうれいです。

江戸のころに庶民しょみんへ広がり、明治期に七五三という呼び名でひとまとめになりました。

誰に向けた行事なのか

祈祷を受けているあいだ、子どもは何が起きているか分からないまま座っています。この行事の意味を受け取るのは、実のところ大人の側かもしれません。

参拝の帰りに、三歳ならこの三年で何があったかを、七歳ならこの七年で何を助けてもらったかを、家族で一つずつ口に出してみてください。写真は残りますが、言葉にしないと残らないものもあります。氏神へ報告する行事なので、報告する中身をこちらでも確かめておく、という順序です。

同じ十一月には、実りに感謝する新嘗祭も控ひかえています。育ったものへ感謝する、共通の思いがある行事です。

よくある質問

Q. 洋服で参拝してもいいですか

差し支えありません。祈祷を受ける場合も、和装わそうを条件にしている神社はほとんどありません。子どもが動きやすい服のほうが当日は楽で、家族は襟のある服など少し改まった装よそおいにすると全体がまとまります。

Q. 五歳の女の子、三歳の男の子は祝えませんか

祝えます。いまの分け方は江戸以降に固まったもので、髪置きはもともと男女どちらも対象でした。地域によっては五歳の女の子も祝います。家の考えで決めて差し支えありません。

Q. 神社と写真館、どちらを先に予約しますか

祈祷の予約が埋まりやすいので、神社を先にすると組み立てやすくなります。日取ひどりが決まってから、前撮りにするか当日撮影にするかを写真館と相談する順です。着物を借りる場合は、そこも早めに押さえておくと選べる幅が残ります。

出典

  • 髪置き・袴着・帯解きに関する各社寺しゃじおよび民俗みんぞく研究の解説
  • 十一月十五日の由来として伝わる鬼宿日および徳川綱吉の説
  • 千歳飴の由来についての一般的な記述