
今夜どの方角を向いて、何時ごろ空を見上げればいいか、決めてありますか。
ペルセウス座流星群は、八月の中旬に極大を迎える流星群です。三大流星群のなかでも、夜が短いこと以外の条件がそろいやすく、日本ではもっとも多くの人が実際に流れ星を見た群でしょう。夏休みやお盆の時期に重なるため、家族や友人と屋外にいる時間が自然に取れることも大きいです。
放射点はペルセウス座の方向、北東の空にあります。夜半を過ぎると放射点が高く上がるので、数を狙うなら明け方に近い時間帯です。極大の前後数日は数が多い時期が続くため、当日の天気が悪くても翌日以降に回せます。
ペルセウス座流星群がわかる3つのこと
- 放射点は北東、見ごろは夜半過ぎです。 放射点が高く上がるほど数は増えます。日付が変わってからが本番だと思ってください。
- 極大の前後三日は、数が多い時期が続きます。 一夜勝負にしなくてよいので、晴れる夜を選べます。
- いま見えている光は、彗星が過去に置いていったちりです。 何十年も前に軌道上へ残されたものが、今夜ようやく光ります。
ペルセウス座流星群を見る、4つの段取り
装備より、場所と時間の選び方のほうが結果を分けます。
- 極大の前後三日を候補にして、晴れる夜を選ぶ。 天気予報で雲の少ない夜を先に押さえます。
- 月の出入りの時刻を調べ、月明かりのない時間帯に当てる。 満月に近い年は、月が沈んでからが勝負です。
- 街の光から離れ、寝転がれる場所を用意する。 首を上げ続けると三十分ももちません。
- 明かりを見ない時間を十五分以上つくり、目を慣らす。 途中で画面を見ると、そこからやり直しになります。
夏の夜は薄着でいられるので、他の季節の群よりも長く空を見ていられます。そのぶん、蚊よけと敷物のほうが装備として大事です。屋外に寝転がって二十分空を見上げる、という過ごし方ができるのは、一年でこの群だけです。
一緒に見る人と、終了時刻も決めておく
出かける前に「何時から何時まで見るか」を決め、敷物や飲み物を分担しておくと、着いてからの相談が減ります。見ているあいだは、一人が見つけた流れ星を追いかけ続けるより、それぞれ見やすい範囲の空を眺める。帰る前に、見えた数や印象に残った一筋を短く話してみてください。同じ場所にいても見えたものが違うことまで、その夜の記録になります。
誰かと見上げる時間として
この群は、ひとりで数を数えるより、誰かと一緒に見るほうに向いています。お盆と重なる年は、帰省先の空で見上げる人も多いでしょう。都市を離れた場所は空が暗く、条件がよくなります。
願いを一つ書いておくなら、外へ出す種類のものを選んでみてください。人に会う、申し込む、行ってみる。夏のうちに体を動かして確かめられるものが、この時期の空気に合います。書いたあと、一週間以内にできる最初の一歩まで決めておくと、八月のうちに動き出せます。
流れ星が見えなかった夜でも、外に出て空を見上げた時間は残ります。誰と見たか、どんな匂いがしたか、そのほうが後から思い出せる部分です。
百三十三年ごとに帰ってくる彗星
母天体はスイフト・タットル彗星です。一八六二年にルイス・スウィフトとホレース・タットルがそれぞれ独立に見つけた彗星で、太陽のまわりを百三十年あまりかけて一周します。
この彗星には、日本にとって印象的な経緯があります。前回の回帰にあたる年に、日本のアマチュア天文家である木内鶴彦が再発見しました。その前後の年に流星群が平年の二倍以上という規模で出現したことから、母彗星も近づいているはずだと予測されていた、という順序です。流星の増減から親のほうを探し当てた形になります。
彗星は太陽に近づくたびに、氷や岩のちりを軌道上に少しずつ残し、地球が毎年八月にその帯を横切るとき、ちりが大気に飛び込んで光ります。つまりいま見えている一筋は、彗星が過去に通ったときに置いていったものです。過去に置いたものが後になって形になる、という順番が、この群のいちばん面白いところだと思います。
三回唱える、という言い伝えの出どころ
流れ星が消えるまでに願いを三回唱える、という話は日本でもよく知られています。ただ、これは日本の古い習俗ではなく、ヨーロッパから伝わった言い伝えが下敷きになっていると説明されます。
よく挙げられるのが、天が開いた隙間から光がこぼれたものが流れ星であり、開いているあいだは声が届く、という考え方です。また、フランスやドイツのカトリック圏で、流れ星が消える前に三度祈りの言葉を唱えると死者の魂が救われるとされた習わしが、三回という数の出どころの有力な候補とされています。三という数が神聖なものとして扱われてきた背景も重ねられます。
この言い伝えを思い浮かべると、願いを短い言葉にする練習にもなります。数秒で消えるものに向かって唱えるには、願いが短くまとまっていなければ間に合いません。三回唱えられる長さまで削ると、自分がほんとうに望んでいることの輪郭がはっきりします。流れ星が試しているのは、望みの強さより言葉の短さかもしれません。
よくある質問
Q. ペルセウス座流星群は、どの方角を見ればいいですか
放射点は北東ですが、流れ星は空のどこにでも出ます。放射点の方向を正面に置きつつ、視野を広く保つほうがより多くの流星を見つけられます。
Q. 極大の日に見られなかったら、もう終わりですか
終わりではありません。前後三日ほどは数が多い時期が続くので、晴れた夜に出直せます。月明かりのない時間帯を選ぶと条件がよくなります。
Q. 望遠鏡や双眼鏡は必要ですか
要りません。流れ星は視野の広さが物を言うので、道具を使うとかえって見つけにくくなります。寝転がれる敷物と蚊よけのほうが役に立ちます。
出典
- 国立天文台「ペルセウス座流星群」および流星群の観察方法に関する解説
- スイフト・タットル彗星(109P)の発見と回帰に関する各種天文記録
- ヨーロッパにおける流れ星の言い伝えに関する民俗的解説