毛布を掛けて椅子に座り、冬の広い星空と流れ星を見上げる人
空を広く眺められる姿勢で、冬の一筋を待つ。
絵を大きく見る

十二月の夜に、そこまで着込んで外に出る値打ねうちがあるのかと迷いませんか。

ふたご座流星群りゅうせいぐんは十二月の中旬ちゅうじゅんに極大きょくだいを迎え、三大流星群のなかで近年もっとも安定して数が出る群とされ、条件がよければ一時間に数十個規模で流れます。

放射点ほうしゃてんが宵のうちから高く上がるため、深夜まで粘らなくても見られます。 翌日に予定がある人でも参加できる、めずらしく親切な流星群です。

ふたご座流星群がわかる3つのこと

  1. 極大は十二月十四日ごろ。 前後数日にわたって数の多い時期が続きます。
  2. 放射点はふたご座のカストル付近。 宵の東の空から高く上がってきます。
  3. 母天体ぼてんたいは彗星すいせいではありません。 小惑星しょうわくせいとして登録された(3200)ファエトンです。

見る前にそろえるもの

観察のうえで不利なのは気温だけです。十二月の夜に三十分外に立つのは、装備がなければ耐えられません。地面からの冷えが効くので、座るなら断熱できるものを敷きます。

手袋と帽子と厚い靴下を先に用意するほうが、望遠鏡を探すより効きます。 望遠鏡や双眼鏡そうがんきょうは視野が狭くなるので、この観察では役に立ちません。

極大の夜に向く4つの準備

  1. 月の出入でいりを調べ、月明かりが弱い時間帯を選ぶ
  2. 東から南の空が開けた場所を確保する
  3. 寝袋や毛布を持ち込み、地面からの冷えを断つ
  4. 車の中から見るなら、明かりを消して目を慣らす

放射点の方向だけを見つめなくても大丈夫です。流星は空のあちこちに現れるので、視界を広く取り、姿勢を楽にしておくほうがより多くの流星を見つけられます。暗さに目が慣れるまで十五分ほどかかることも、覚えておくと待ち方が変わります。

一年分の言葉を選び直す

年の終わりに近い時期の群なので、来年の目標を立てる場としてよく使われます。ただ、十二月に増やしたことは、たいてい一月には残りません。この時期は、増やすより選び直すほうが向いています。

ふたご座は、占星術せんせいじゅつでは言葉や情報、学びと結びつけて語られる星座です。名前をきっかけに使うなら、今年の言葉を三つ選んでみてください。今年よく口にした言葉、助けられた言葉、もう使わないと決める言葉。書き出すと、一年をどんな語彙ごいで過ごしていたかが見えます。

双子という名前どおり、二つ並べて比べる形も合います。続けたい習慣と終える習慣、来年学びたいことと手放してよい情報。片方に決め切らず、並べたまま眺めておく期間があってよいはずです。年内に結論を出さなければいけない決まりはありません。

この群に限っては数が多いので、三回唱えるうちに次の一筋が来ます。 願いを何度も言い直せる夜だと思えば、まだ言葉になっていないことを空に向かって並べてみる時間にもできます。何も浮かばなければ、寒いなかで空を見上げたという記憶だけで十分です。

岩の天体から生まれた流星群

ここから天文の話です。

流星群のちりは、ふつう彗星が残していったものです。彗星は氷と岩の混合物で、太陽に近づくと表面の氷が蒸発して、そのときに固体のちりが放出ほうしゅつされます。

ところがこの群の母天体は、小惑星として登録された(3200)ファエトンです。一九八三年、赤外線天文衛星の画像から見つかった天体で、その軌道要素がふたご座流星群の軌道と一致することが指摘され、母天体だと分かりました。氷ではなく岩石質の天体からどうしてちりが供給されるのか、これが長く謎として扱われてきました。

ファエトンの軌道は極端です。近日きんじつ点では太陽から二千万キロほどまで近づき、表面が数百度に達すると考えられています。そこまで熱せられれば岩そのものがひび割れ、細かい破片が飛び出す。氷の蒸発ではなく熱による破砕はさいでちりが出ているのではないか、という見方が有力です。彗星のように尾を伸ばす様子も観測されており、小惑星と彗星の境目さかいめにいる天体として扱われています。より大きな小惑星から分かれた破片である可能性も指摘され、日本の探査計画の目標天体にもなっています。

つまりこの群の流れ星は、溶けたものではなく、砕けたものです。 同じように光って見えても、成り立ちが違います。

暮らしの中で試すなら

観察の記録には、見始めた時刻と終えた時刻、雲や周囲の明かりの様子を残してみましょう。数だけでは、短く眺めた夜と長く待った夜を比べられません。印象に残った一筋があれば、長さや明るさを自分の言葉で一行添えます。願い事が浮かばない夜でも、見た空の記録は来年の楽しみにつながります。

よくある質問

Q. 何時ごろに見るのがいいですか

放射点が宵のうちから高く上がるので、二十一時ごろからでも見られます。月明かりの弱い時間帯を選ぶと数を拾いやすくなります。

Q. 双眼鏡や望遠鏡は必要ですか

不要です。視野が狭くなるぶん、かえって見つけにくくなります。肉眼にくがんで空を広く見るほうが向いています。

Q. 方角はどちらを向けばいいですか

東から南にかけて開けた場所なら十分です。流星は空のあちこちに現れるので、放射点だけを追わなくて構いません。

出典

  • 国立天文台「ふたご座流星群」および流星群の観察方法に関する解説
  • 小惑星(3200)ファエトンの発見および表面環境に関する各種観測報告
  • 各種占星術文献ぶんけんにおける双子座ふたござと言語・学習の関連についての解説