
お彼岸が明けたあと、墓をそのままにして冬に入っていませんか。
秋の彼岸明けは、秋分の日を真ん中とする七日間を締めくくる日。秋分の三日後にあたるので、九月二十六日ごろになります。目立つ法要はありませんが、この日を境に、家の中の様子が彼岸の前へ戻っていきます。供え物を下げ、花立てを片づけ、仏具を元の位置に返す。手を合わせる時間から、暮らしの時間へ折り返すところです。
多くの家にとって、この期間は年内で最後の墓参りになります。 夏のお盆、秋の彼岸と続いてきた一年の供養がここで一区切りつくと考えると、明けの日の重さも少し変わってきます。次に訪れるのが春だとすれば、それまでの半年をどう置いておくかを決める日でもあります。
秋の彼岸明けがわかる3つのこと
- 年内最後の墓参りになりやすい日です。 次に行くのが翌春なら、半年ぶんの手当てをここで済ませることになります。
- 水鉢の水は抜いておきます。 凍って石が傷むことがあるためで、雪の多い地域ではとくに大切です。
- 年内の法事を見通すのに向いた時期です。 年忌の日取りは、寺と親族の予定を合わせるのに時間がかかります。
冬に向けた墓の手当て
片づけを済ませるだけでなく、次に訪れるまでの状態を考えておくと、この日が実務として働きます。
明けの日にしておく4つの手当て
- 生花を下げ、次に行くまでの間隔を考えて花立てを空にします。 枯れたまま冬を越すと、後始末が重くなります。
- 水鉢の水を抜きます。 溜まったまま凍ると、石が欠けたりしみが残ったりします。
- 落ち葉が溜まる区画は、掃きに行く回数を決めておきます。 木の下の墓は、秋のあいだに一度は様子を見たいところです。
- 卒塔婆や供物の引き取りについて、お寺の扱いを確かめます。 年内に済ませるものと、翌年でよいものが分かれます。
雪の多い地域では、冬のあいだに花が凍り、石にしみが残ることがあります。造花に替える家もあれば、何も置かないという判断をする家もあります。地域のやり方に合わせるのが、結局は無理のない形です。
日の傾きが変わる時期の注意
秋分を過ぎると、昼が夜より短くなります。明けの頃には夕方の暗くなる速さが目に見えて変わり、墓地の門が閉まる時間も早く感じられます。「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」という言い方があるとおり、この時期の日暮れは一気に来ます。
墓参りを明るいうちに済ませたいなら、彼岸の期間内に行っておくほうが安全です。明けたあとに出かけるなら、家を出る時間を早めに見ておくと足元で困りません。
日照が減っていく時期は、気分の落ち込みや疲れやすさが出やすくもあります。供養の片づけと季節の変わり目が重なるので、まとめて済ませようとすると体にこたえます。墓の手入れと家の中の整えを別の日に分ける、それだけでも負担はだいぶ軽くなります。
年内の法事を見通しておく
彼岸明けの頃は、年内に控えた法事の支度を始める時期にもなります。祥月命日(しょうつきめいにち/亡くなった月日と同じ日)や、三回忌や七回忌といった年忌の日取りは、お寺と親族の予定を合わせるのに時間がかかります。
冬に入ってから慌てるより、この時期に候補日を並べておくほうが落ち着いて決められます。翌年の分まで手帳に書き移しておくと、次の春の彼岸を迎えたときに、何を控えている家なのかが分かります。記録として残るのは、案外こうした一行です。
彼岸のあとに続くお寺の行事
お寺の側にも、彼岸のあとに続く行事があります。浄土宗では十夜法要(じゅうやほうよう)、通称お十夜が秋から冬に営まれます。浄土真宗では、親鸞聖人の命日にあたる報恩講(ほうおんこう)が晩秋に置かれます。
彼岸が済んだからその年の仏事が終わるわけではない、という並びです。菩提寺の案内をこの時期に確かめておくと、次に足を運ぶ機会が見つかることもあります。宗派の立場によっては、そもそも彼岸を追善の期間としません。浄土真宗ではこの七日間を聴聞(ちょうもん)、つまり教えを聞く機会とするお寺が多く、明けの日に問われるのは供養の出来ではなく、聞いたことをどう受け取ったかになります。
秋祭りや新嘗祭とは筋が違う
秋には収穫を祝う神事も重なりますが、彼岸は仏教の行事で、由来が別です。神社の秋祭りや新嘗祭(にいなめさい)は、その年の実りを神へ供える神道の流れにあります。
同じ季節に並んでいるので混ざりやすいのですが、どちらへ手を合わせているのかを分けて考えると、供え方も迷いません。お寺には菓子や果物、神社には米や酒。供えるものの作法も、そもそも別の系統です。
感謝を言葉で終わらせない
供養の期間が過ぎたあと、気持ちだけが残って手が動かないことがあります。彼岸中に思い出した人の言葉や癖のなかから、一つだけ生活へ持ち帰ってみてください。食べ方でも、人への接し方でもかまいません。持ち帰るものが小さいほど続きます。
明けた翌日から、特別なことをしなくても差し支えありません。仏壇の水を毎日替える、写真の前を通るときに一度目を合わせる。それだけで、期間の外でも供養は続いていきます。この期間の入り方と、西へ沈む日を拝んできた背景についてはお彼岸入り(秋)で扱っています。
暮らしの中で試すなら
帰る前には、その日に済ませた手入れと、次に確かめたいことを短く残します。「花立てを空にした」「落ち葉が多い場所だった」など、見たままの言葉で十分です。家族が次に訪れるなら、そのメモと道具の置き場所を伝えておくと、同じ確認を重ねずに済みます。
よくある質問
Q. 秋の彼岸明けは、何日にあたりますか
秋分の日の三日後です。秋分の日が年によって動くので、明けの日もその年の暦で確かめる必要があります。
Q. 冬のあいだ、墓に花を供えたままでもよいですか
寒い地域では、花が凍って石にしみを残す場合があります。次に来るまで間があくなら、花立てを空にしておくほうが石は傷みません。造花に替える家もあります。
Q. 年忌法要の日取りは、いつごろ相談すればよいですか
彼岸明けの時期に候補日を並べ、寺と親族に当たっておくと落ち着いて決められます。年末年始をまたぐ場合は、さらに早めのほうが調整しやすくなります。
出典
- 各宗派による彼岸会および年忌法要についての一般的な説明
- 霊園と寺院による墓地管理や供物の引き取りの案内
- 神社本庁による新嘗祭の解説