
九月の後半に「急に日が短くなった」と感じたことはありませんか。
あれは気のせいではありません。秋分の前後は、一年でいちばん昼の長さが速く変わる時期です。秋分の日は、その真ん中に置かれています。ここから先は、夜のほうが長くなっていきます。
秋分の日がわかる3つのこと
- 昼と夜の勢いが入れ替わる日。 太陽がほぼ真東から昇り、ほぼ真西へ沈みます。
- 秋のお彼岸の中日です。 前後三日ずつを合わせた七日間が、秋の彼岸にあたります。
- 日付は九月二十二日か二十三日。 太陽の位置で決まるため、年によって動きます。
昼が縮む速さが、一年で最大になる
夏至や冬至のころは日の長さがほとんど動きませんが、春分と秋分の付近では一日に二分あまりずつ変化します。一週間で十五分近く、夕方の明るさが持っていかれる計算です。
九月の後半に日暮れが早まったと感じるのは、数字のうえでも正しい実感ということになります。夕方の予定の組み方や、帰り道の明るさが変わるのもこの時期です。
秋分を過ぎると、日の入りは五時台へ入っていきます。ここから冬至までの三か月が、一年でもっとも夜の長い季節です。減っていく側に入るという事実を、感覚ではなく時刻表として確かめておくと、秋の予定を無理なく組めます。
ちなみに秋分の日も、正確には昼のほうが少し長くなります。日の出と日の入りの決め方や大気の影響が春分と同じように効くため、東京で昼夜がほんとうに等しくなるのは秋分から四日ほど過ぎたあたり。追い越されるのはもう少し先だと知っておくと、この日の見え方が少し変わります。
受け取ったものを、数から数える
収穫の節目として語られる日ですが、この時期に見ておくと役に立つのは、成果より「続いたこと」のほうです。
この日に書き出したい4つ
- 春から続けられている習慣を、三つ書き出す
- 今年になって助けてくれた人の名前を、思い出せるだけ挙げる
- 体調を崩さずに越せた時期を確かめる
- 手をつけたけれど途中で止まったものを、責めずに並べる
足りないもののほうが目に入りやすいのは、たいていの人に共通しています。だからこそ、受け取ったものを数として書き出す作業に意味が出ます。 数えてみると、次に何を手放してよいかも見えてきます。三つ続いていた習慣のうち、いま無理をしているのはどれか。並べたあとの判断のほうが、勢いで決めるより正確です。
感謝を課題のように扱い始めると、かえって窮屈になります。誰にも感謝が湧かない年もあるでしょう。しんどい半年だった人に「実りを数えましょう」と言われても、無理があります。そういう年は、無事に九月まで来たという事実だけを数えれば十分です。
しまう場所を決めておく
秋分の日から冬至までは、外へ広げるより内側へ収める季節だと言われます。実際に、日が短くなれば動ける時間も減ります。予定を減らすことに罪悪感を持たなくてよい時期だと考えると、扱いやすくなります。
減らし方には順番があります。まず、今年のうちに終わらせるものを決める。次に、来年へ持っていくものを決める。最後に、どちらでもないものを保留の箱に入れておく。この三つに分けておけば、十二月に慌てて片づけることが減ります。
物のほうも同じです。夏に使った道具をしまうとき、来年また使うかどうかを一度考えます。二年続けて使わなかったものは、たいてい三年目も使いません。 しまう作業のついでにできる判断なので、この時期に済ませておくと軽くなります。
お彼岸の中日と、おはぎ
秋分の日は、秋のお彼岸のちょうど真ん中にあたります。日が真西へ落ちるため、西のかなたにあると説かれた極楽浄土のほうを向いて手を合わせる日として続いてきました。
供え物として知られているのが、おはぎです。小豆の赤い色に厄除けの意味を重ねてきた習わしで、春には牡丹餅と呼び分けるという話もあります。台所で季節を確かめるやり方として、無理のない習慣でしょう。
彼岸の入りから明けまでの過ごし方はお彼岸入り(秋)にまとめてあります。
おはぎを囲む時間に
おはぎを用意したら、食べる前に家族の好きだった味を一つ思い出してみます。粒あんが好きだった、きなこをよく選んでいた。そんな小さな話からでも、お彼岸の時間は始められます。誰かと囲むなら、知っている思い出を一つずつ話すだけでもよいでしょう。写真を出すときも、たくさん並べる必要はありません。一枚を見ながら、そのころの食卓や季節のことをゆっくりたどってみてください。
春分と秋分で、法律の言葉が違う
同じ天文現象を根拠にした祝日なのに、法律が定めた趣旨は対になっていません。
国民の祝日に関する法律は、春分の日を「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とし、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日としています。春は生き物のほう、秋は亡くなった人のほうを向いている、という書き分けです。
この差は、祝日になる前の来歴から来ています。どちらも一九四八年の祝日法より前は宮中の祭りの日で、秋分にあたる日は秋季皇霊祭と呼ばれていました。歴代の天皇や皇族の霊を祭る日で、明治十一年の改正で休日に定められた流れが、名前を変えて今に続いています。祖先をしのぶという趣旨は、そのころの性格を引き継いだものです。
日付の決め方は春分の日と同じで、法律には「秋分日」とだけ書かれています。国立天文台の計算にもとづく暦要項が前の年の二月に官報で公表され、そこで日付が確定します。
夜が長くなる側で
過ごし方を難しく考えなくて大丈夫です。日の入りの時刻を調べて、その時間に外へ出てみる。それだけでも季節の変わり目に立ち会えます。
半年前の春分に何かを書いていた人は、それを読み返す日にできます。書いたとおりに進んでいなくても、当時と今で気にかかっていることが違っていれば、それ自体が半年ぶんの動きです。
日が落ちてからの時間が増えていくので、あかりを見直すのも秋分らしい支度になります。天井の照明を一段暗くして手元の明かりを足すだけで、長い夜が過ごしやすくなります。
この日の太陽は、ほぼ真東から昇ってほぼ真西へ沈みます。方角を確かめるのに使える日は年に二度しかないので、自分の部屋の窓がどちらを向いているかを、この機会に一度見ておくのも悪くありません。方角が分かると、冬のあいだにどこへ日が差すかも予測できます。
よくある質問
Q. おはぎと牡丹餅は違うものですか
作り方はほぼ同じで、季節による呼び分けだと説明されます。春は牡丹の花から牡丹餅、秋は萩の花からおはぎ、という言い方が広く伝わっています。
Q. お彼岸は必ずお墓参りをしないといけませんか
決まりはありません。家で手を合わせるだけでも構いませんし、七日間のうち都合のよい日を選べます。
Q. 春分と秋分で、法律の言葉が違うのはなぜですか
祝日になる前の来歴が違うためです。秋分にあたる日は宮中で祖先を祭る日だったため、その性格が趣旨に残りました。
出典
- 国民の祝日に関する法律および秋季皇霊祭に関する一般的な解説
- 国立天文台 暦計算室「暦要項」(秋分日の公表)
- 国立天文台「春分の日・秋分の日には、昼と夜の長さは同じになるのか」
- 各種暦書における彼岸および供養の習わしの解説