
太陽が欠けているのに、あたりは思ったほど暗くならなかった。そんな話を聞いたことはありませんか。
金環日食は、月が太陽の中央を隠しても覆いきれず、ふちが細い光の輪になって残る日食です。月が地球をまわる道は真円ではないため、近づく時期と遠ざかる時期があります。遠い側にいる月は見かけがひとまわり小さく、太陽をはみ出させたまま前を通り過ぎます。
輪が閉じるかどうかは、その日の距離だけで決まり、わずかな差が、真っ暗になる景色と、指輪のような輪が空に浮かぶ景色を分けています。
金環日食がわかる3つのこと
- 細い光の輪が最後まで残ります。 太陽を隠しきれないので、黒い円のまわりが途切れずに光り続けます。
- 空は薄暗くなる程度でとどまります。 光の一部が届いたままなので、星が見えるほどには沈みません。
- 最中も肉眼で見てはいけません。 残った輪の光は、日ごろまぶしいと感じる強さをはるかに超えています。
光の輪の太さを決めているもの
月と地球の距離は、近いときと遠いときでおよそ四万キロ違います。近い側で新月を迎えれば月は太陽を覆いきり、遠い側なら覆いきれません。前者が皆既、後者が金環です。
距離が離れているほど輪は太くなり、その状態が続く時間も長くなります。輪がごく細い回は皆既に近い薄暗さになりますが、それでも外側の淡い大気は現れません。ひとすじでも輪がつながっていれば、光は途切れず、まわりの淡い輝きはその明るさに負けたままです。
金環になる帯は皆既の帯より幅が広めになる回が多く、そのぶん見られる土地も広がります。とはいえ帯を外れれば、深く欠けた太陽が見えるだけです。
金環日食の日に確かめたい4つのこと
- 紙に開けた小さな穴で、光を白い板に映す。 穴を通った像が、その時刻の太陽の形をそのまま写します。
- 影の輪郭が、ふだんより鋭くなっていないかを見る
- 気温と風の感じを、始まる前といちばん欠けたときで比べる
- まわりの音が変わるかどうかに耳を向ける
金環日食で目を守る手順が厳しい理由
この日食で気をつけたいのは、暗くなったという感覚と、実際に届いている光の強さがずれることです。
皆既日食なら、太陽が完全に隠れているあいだだけグラスを外せます。金環日食には、その時間がありません。始まりから終わりまで、専用の日食観察グラスをかけたままにしてください。輪の形を写したくなっても、カメラやスマートフォンのレンズをそのまま向けるのは避けます。
薄暗い場所では、目の瞳孔が開きます。開いた状態の目に強い光が入るほうが、明るい場所で見るより危ないと説明されます。暗いから平気だという感覚こそ、この日食でいちばん外しやすい判断です。
金環と皆既が途中で入れ替わる日食
まれに、ひとつの日食の中で金環と皆既が切り替わる回があります。金環皆既日食、あるいは英語の呼び方からハイブリッドと言われるものです。
地球は球なので、影の軸の真下にあたる土地は、帯の両端にあたる土地よりも月にわずかに近くなります。その差によって、中央付近では月が太陽を覆いきり、端では覆いきれずに輪が残ります。日食全体の一割にも満たない、めずらしい種類です。
占星術は残った輪をどう読んできたか
日食を大きな区切りとして扱う流儀では、皆既か金環かで意味を分けない書き手が多くいます。太陽と月が空で重なる日という点は同じだからです。
その一方で、輪が残るという見え方に沿って、すべてが入れ替わるのではなく芯が残る日として書く人もいます。よりどころは天文の現象そのものではなく、形からの読み取りにあります。その土地で見えたかどうかを条件にする立場と、配置だけを読む立場が並ぶ点は、皆既日食と変わりません。
星座ごとの読み方は新月(水瓶座)+金環日食のページへ。
暮らしの中で試すなら
予報を見るときは、日食が起こる日だけでなく、観察する地域の欄を開きます。その土地で金環になるのか、部分日食として見えるのかを先に確かめると、期待する形と実際の見え方を合わせられます。開始・もっとも欠ける時刻・終了を一緒に控えておくと、その前後の明るさも比べやすくなります。
よくある質問
Q. 金環日食と皆既日食は、どちらが多いのですか
金環のほうがやや多くなります。月が平均より遠い位置で太陽の前を通る回のほうが起こりやすいためです。
Q. 金環のあいだにコロナは見えますか
見えません。残った輪の光が強く、そのまわりの淡い大気をかき消してしまいます。あの真珠色の広がりが見えるのは皆既の数分だけです。
Q. 金環日食は日本から見られますか
その回ごとに帯の位置が変わります。国立天文台が公開する各地の予報を見れば、住んでいる場所が帯に入るかどうかを確かめられます。
出典
- 国立天文台による金環日食が起こる条件と月の距離についての解説
- 国立天文台 暦計算室が公開する各年の食のデータおよび各地予報
- 日食観察時の目の安全についての各天文機関の案内
- 日食を節目として扱う西洋占星術における立場の違いについての記述