皆既日食の光景が見える静かな画室と、描きかけの絵
誰かに見せる前の時間にも、好きな作業を楽しめます。
絵を大きく見る

昼のさなかに空が暗くなり、気温が下がり、鳥が鳴きやむ。

皆既日食かいきにっしょくを見た人の記録には、暗さそのものより、まわりの生き物の反応が印象に残ったという話がよく出てきます。数分で元に戻るとはいえ、日中に太陽が消えるという出来事は、仕組みを知っていても体のほうが先に驚くらしいのです。

この日は、その日食が獅子座ししざで起きる回にあたります。獅子座が受け持つのは創造、遊び、表現、そして人前に立つこと。守護星しゅごせい(その星座の性質をあらわすとされる天体)は太陽そのもので、その太陽が一時的に隠れる。この組み合わせが、この日を独特なものにしています。

この日を知る3つのこと

  1. 日食は必ず新月の日に起きます。 新月のうち、月が太陽の手前を横切よこぎる位置になった回だけが日食になります。
  2. 獅子座のテーマは自己表現。 蟹座かにざで内側に折り返した流れが、ここで名前と顔のついた状態で外へ出ていきます。
  3. 扱い方は二つに分かれています。 願い事に向かないという見方と、通常より大きな節目ふしめとする見方の両方が伝わっています。

願い事はしてもいいのか

いちばん気になるところから先に書きます。日食が重なる新月の扱いには、大きく二つの立場があります。

ひとつは、この日に願い事を書くのは避けたほうがよい、という見方。太陽がさえぎられる配置なので通常の新月とは質が違う、光が届かない状態で意図を置くのは向かない、と説明されます。もうひとつは、逆に何倍も大きな節目として扱う立場です。数十年単位の話につながる区切りだ、と語られることもあります。

どちらが正しいかを決める材料は、文献ぶんけんの側に見当たりません。占星術せんせいじゅつの系統けいとうによって扱いが違い、同じ流派りゅうはのなかでも書き手によって差があります。どちらかに従うより、両方あると知っておくくらいがちょうどよい距離感です。

折り合いのつけ方としては、この日は新しく付け足すより、今の自分の見え方を確かめる日に充てるのが無理のない線でしょう。付け足すのは通常の新月でもできます。太陽が一度隠れて戻る配置は、年に何度も巡ってきません。

皆既と金環は何が違うのか

月の通り道は太陽の通り道からわずかに傾いているので、毎回の新月で重なるわけではありません。二つの道が交わるあたりで新月を迎えたときに限られます。だから日食は年に数回しかなく、逆に言えば、日食の日はどれも新月です。

皆既かいきと金環きんかんの違いは、月と地球の距離から生まれます。月の軌道はきれいな円ではないため、月が近い位置にあるときは太陽をすっかり覆おおい隠し、外側の淡い大気であるコロナが見えます。これが皆既です。月が遠いときは覆いきれず、周囲に細い光の輪が残ります。こちらが金環。同じ理屈りくつの現象でも、見える景色はかなり違います。

どこで見えるかは回ごとに変わります。皆既として観測できる帯はかなり細く、日本からまったく見えない回も珍しくありません。見える場所にいるときは、専用の日食観察グラスを使ってください。曇りガラスやサングラスでは目を痛めます。

日食は古い記録にも残っています。中国の史書ししょや日本の古代の記事にも、太陽が欠けた日の記述が見えます。かつて不吉なしるしとして扱われたのは、仕組みが分からなかった時代の話です。今は何年後の何時何分にどこで見えるかまで計算されています。それでも節目として扱われ続けているのは、体感としての印象があまりに強いからでしょう。

舞台の上を受け持つ星座

獅子座は12星座の五番目。子どもが描いた絵を親に見せるときの得意げな顔が、この星座のいちばん分かりやすい説明かもしれません。

目立ちたがりと紹介されがちですが、それだと半分しか説明できていません。この星座が扱うのは注目を集めることではなく、自分の内側から出てきたものを人前に置けるかどうかです。認められたい気持ちも含まれますが、その手前に、まず出す、という段階があります。

演じてきた役を、ここで降りる

この日に扱いやすいのは、見せ方の更新です。

長く続けてきた見せ方は、たいてい過去のどこかで役に立ったものです。明るい人、頼れる人、手のかからない人、面倒を見る人。当時は必要だったその型が、今もそのまま合っているかは別の話でしょう。太陽の光が一度さえぎられて戻る配置は、そのあいだに衣装を替えるようなものだと考えると腑に落ちます。

一方で、これまで隠していた側も出番を待っています。好きなのに人に言っていないもの、途中でやめた手仕事、恥ずかしいから見せていない書きもの。全部を公開しなくても、一人に見せるだけで成立します。

  1. もう似合わなくなった役を、ひとつ言葉にする
  2. 隠していた好きなことを、誰か一人に見せる
  3. 顔写真や名前の表記を、今の自分に合うものへ替える
  4. 楽しむためだけの予定を、月内げつないにひとつ入れる

人に見せる前の、一回を楽しむ

描きかけの絵や途中の手仕事があるなら、写真を撮って見せる予定をいったん横へ置き、続きに触れる時間を取ってみます。色を一つ塗る、縫いかけの箇所を進める。そのとき面白かったところを一行残しておけば、後で誰かに見せる場合も、反応だけに目が向かずに済みます。人に渡すなら、見てほしい箇所を一つ添える方法もあります。

拍手のないところで好きなことをする

当日に大きな決断をしなくて大丈夫です。体調が落ちる人もいるので、予定を詰めずにおくと楽でしょう。

この日に向くのは、誰にも見られない場所で好きなことをしてみる、という少し逆さまの過ごし方です。反応がない状態で楽しいと感じられるものは、他人の評価のためにやっていたのではないと分かります。獅子座の表現が消耗しょうもうに変わるのは、たいてい拍手が目的になったときです。

見分け方はひとつだけ。誰も見ていないと分かっていても手が動くかどうかです。動くなら、自分の内側から出てきたものだと考えていいでしょう。動かないなら、いったん休む。休むことは、やめることとは違います。

夜になれば月は見えません。太陽が戻ったこと自体が、この日の出来事です。八月中旬ちゅうじゅんはライオンズゲート 8:8ピークとして語られる時期とも重なり、まわりの話題が大きくなりがちですが、自分の暮らしに戻せる大きさまで縮めて受け取れば十分です。書くなら、隠していた好きなもの、もう演じない役、今日見せる小さな表現の三行を残しておいてください。

よくある質問

Q. 日本から見えない日食でも、影響はありますか

占星術では、見える場所にいるかどうかと切り離して扱うのが一般的です。空を見上げられなくても、節目としての読み方は変わりません。

Q. 体がだるくなるのは日食のせいですか

季節や睡眠など、ほかの要因のほうが先に考えられます。ただ、この日は予定を軽くしておいて損はありません。

Q. 日食のあと、いつまでが影響の範囲ですか

半年ほど先まで見る流派もあれば、次の日食までとする流派もあります。目安として、次の満月までを一区切ひとくぎりにすると生活に落としやすくなります。

出典

  • 国立天文台「日食各地予報」および暦計算室こよみけいさんしつの日食データ
  • 皆既日食と金環日食きんかんにっしょくの違いについては国立天文台の解説による
  • 占星術における日食の扱いは流派によって異なり、複数の立場がある