
こたつを出す日が暦で決まっていた、という話を聞いたことはありますか。
その日が、亥(い)の日です。己亥(つちのとい)月は立冬から始まり、大雪の前日で終わります。茶の湯で炉を開くのもこの時期で、旧暦十月の亥の日に行われてきた亥の子の行事も、収穫を祝って冬支度に入る節目として各地に残っています。
火を使い始める日を亥の日に合わせる習わしは、亥が水にあたる支だから火事を防げる、という考え方から来たと説明されます。
己亥月がわかる3つのこと
- 冬支度の行事が集まる一か月です。 炉開き、亥の子、こたつ出し。どれも亥の日と結びついてきました。
- 上の土が下の水を抑える形です。 畦を作って田に水を溜める姿が、よく引き合いに出されます。
- 亥は「核」に通じるとする説があります。 種の中身が固まっていく段階の象徴として語られてきました。
蓄えるほうに寄せる
己は陰の土で、耕された田畑の土にたとえられます。亥は五行では水。土は水を剋(こく)す関係なので、上の土が下の水を抑える形になります。
抑えるといっても、追い出すのではありません。流してしまわずに、囲って残す働きです。寒くなって外に出る回数が減る時期でもあるので、溜める側にまわる月と読むと、季節の実感とつながります。
己亥月に向く4つのこと
- 一年でやり残したことを数え、来年に回す分を決めてしまう
- 暖房や寝具を整えて、冬のあいだ消耗しない環境を作る
- 支出を締めるより、何にいくら使ったかを把握するところから始める
- 読む本や学ぶことを決めて、外へ出ない時間の使い道を用意する
年末の慌ただしさが始まる前の、まだ静かな一か月です。派手な区切りではないぶん、来年の形を決めるには向いています。
年の運と、月の運は別の層にある
四柱推命では、生まれた年月日と時刻から四つの柱を立てます。そこへ、めぐってくる年や月の干支を重ねて読むのが一般的な手順です。
つまり年干支や月干支は、誰にとっても共通の背景であって、その人に何が起きるかを決める部分ではありません。同じ己亥月を過ごしていても、受け取り方は生まれ持った組み合わせによって変わります。占いの本に「この月は控えめに」と書かれていたとしても、平均的な傾向を書いたものだと考えたほうが実際に近いです。
算命学のように別の体系を持つ流派では、月の巡りをそもそも重く扱わないこともあります。同じ用語を使っていても中身が違う場合があるので、どの体系の話をしているかを確かめる癖をつけると混ざりません。
冬に入る日そのものは立冬のページにあります。
冬に読む一冊を、手の届く場所へ
冬の過ごし方を用意するなら、読もうと思っていた本を一冊だけ選び、よく座る場所の近くへ置いてみてください。しおりと眼鏡も一緒に置くと、短い空き時間から読み始められます。こたつや暖かい寝具を出す日に、照明の向きや座布団の位置も確かめておく。部屋を暖める支度と、家で楽しむことの支度を同じ日に済ませると、寒くなってからの時間を具体的に思い描けます。
よくある質問
Q. 己亥月はどの年にめぐってきますか
丙の年と辛の年の亥月が己亥です。5年ごとに回ってくる計算になります。
Q. 炉開きはいつするものですか
旧暦十月の亥の日に行う形が伝わっています。現在は11月の初めごろに行う茶席が多く、地域や流派によって日取りが違います。
Q. 亥の子とはどんな行事ですか
収穫を祝い、子どもが地面を突いて回る風習などが西日本を中心に残っています。餅を作って食べる形もあり、冬支度に入る節目として受け継がれてきました。
出典
- 国立天文台 暦計算室「二十四節気および雑節」
- 四柱推命における年運・月運の位置づけおよび亥の子に関する一般的な解説
- 香港天文台「天干和地支」表四・年干と月干の対応