
同じものが二つ重なると、その分だけ強くなると思いますか。
戊戌(つちのえいぬ)月は、その問いがそのまま読み方の分かれ目になる一か月です。区切りは寒露に入る日から立冬の前日まで。秋の長雨が抜けて空が高くなり、収穫が本格的に進む頃にあたります。
この月は、干も支もどちらも土です。同じ五行が重なる状態を比和(ひわ)と呼びます。ただし重なる土の質によって、出てくるたとえが変わります。
戊戌月がわかる3つのこと
- 動かない土の上に、動かない土を積む形です。 戊は山や堤防のような、耕されていない大きな土にたとえられます。
- 安定と、固まりすぎの両方が語られます。 風が通らなくなる、という注意が添えられることも多い組み合わせです。
- 後半に秋の土用が入ります。 戌は秋の最後に置かれた支で、収蔵と結びつけて語られてきました。
締めたあとに、風を通す
守りに入る力が強い月として説明されます。新しいことを立ち上げるより、抱えているものの置き場所を決めるほうが合う時期です。
ただし、固めるだけでは息が詰まります。締める作業をひとつ済ませたら、風を通す用事もひとつ入れておく。 そのくらいの配分がちょうどよいところです。
戊戌月の4つの手当て
- 一年の残りの予定を数え、これ以上入れられる量を先に確定させる
- 買い替えの必要なものを、寒くなる前に決めてしまう
- 書類や写真のように溜まりやすいものを、保管の形にまとめる
- 動かさない日を作って、体を休ませる予定を先に入れる
田畑の土と、山の土
十干の土は戊と己に分かれます。己が耕されて柔らかい田畑の土なら、戊は山や堤防のような、動かない大きな土です。
柔らかい土が重なるのと、硬い土が重なるのとでは、意味の出方が違います。前者は仕込みの土と言われ、こちらは蓄えを囲う土として語られてきました。同じ比和という言葉でも、中身が入れ替わるところです。
戌は、蔵に納める段階
戌という字の成り立ちには、草木が枯れて姿を消す段階を表すという説があります。収蔵や終いという言葉と結びつけて読まれてきた支です。
犬の字が当てられたのは覚えやすさのためですが、番犬の連想から、守る・見張るという意味を重ねる解説もあります。実りを納めたあとの蔵に鍵をかける、という絵に近い扱いです。
比和を「よい」と読む説明と、「偏りが出る」と読む説明が並んでいます。どちらも同じ理論から出ていて、勢いが強すぎる状態を過剰と見るか、支えと見るかの違いです。
露が冷えていく節気は寒露のページにあります。
しまう箱に、次に開く日を添える
保管する書類をまとめるなら、種類ごとに箱を分けるだけでなく、次に確かめる時期も決めておくと使いやすくなります。家電の説明書なら買い替えを考えるとき、季節の写真なら年末の整理のとき、という具合です。よく使うものは手前へ、長く残すものは奥へ。しまったあとに一度取り出してみると、必要なときに手が届くかも分かります。蓄えを守るというたとえを、取り出しやすい置き場所づくりに生かす例です。
よくある質問
Q. 戊戌月はどの年に来ますか
丙の年と辛の年の戌月が戊戌です。5年でひとめぐりする周期です。
Q. 比和は良い意味ですか
厚みが増すと読む立場と、動きが生まれにくいと読む立場が並んでいます。同じ状態を支えと見るか偏りと見るかの違いなので、片方が誤りというわけではありません。
Q. 秋の土用にも避けることがありますか
土を掘り返す作業を控える習わしは、四季の土用に共通して伝わっています。作業をしてよいとされる間日も、季節ごとに支が決められています。
出典
- 国立天文台 暦計算室「二十四節気および雑節」
- 十干の土の区別および比和に関する算命学・四柱推命の一般的な解説
- 香港天文台「天干和地支」表四・年干と月干の対応