切らずに結び目を少しずつ緩める、両手と青いひも
手放す結論の前に、どこを緩めたいか確かめる。
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離れたほうがいいと思いながら、何年も続いているものが一つはないでしょうか。

冥王星めいおうせいが逆行ぎゃっこうを始めます。五か月半ほどのあいだ、見かけの位置を少しずつ後ろへずらしていきます。占星術せんせいじゅつで冥王星に結びつけられてきたのは、根本からの変容へんよう、手放さざるを得ないもの、力の扱い、そして執着です。生死の境や、人には見せない部分を受け持つ星として語られることもあります。

冥王星の逆行は毎年めぐってきて、一年の四割以上を占めます。五か月余りをかけて、自分が続けてきたことを振り返る目印にできます。この期間に向いているのは、いま自分が何を握って離せないのかを、静かに見にいくことです。

冥王星逆行開始がわかる3つのこと

  1. 五か月半ほど続き、毎年やってきます。 一年の四割以上にわたる期間を、続けてきたことを見直す目印にできます。
  2. やめる決断は、この日にしなくて構いません。 名前をつけずに「なんとなく苦しい」と抱えている状態のほうが長引きます。
  3. 明るさは十四等ほどで、ほとんどの人が一生見ない星です。 重い意味を任されている天体が、実際にはいちばん見えにくい。この落差らくさを知っておくと落ち着いて読めます。

冥王星逆行で、握っているものに名前をつける4つの手順

この期間に向いた作業は、書き出すことに尽きます。

  1. 離れたほうがいいと思いながら続いているものを、一つだけ書く。 数を増やすと、どれも他人事のようになります。
  2. それを続けている理由を、思いつくまま並べる。 順番も体裁ていさいも気にしません。
  3. 並べた理由のうち、他人に説明できるものに印をつける。 説明できる理由は、たいてい表向おもてむきのものです。
  4. 印がつかなかった理由が、たぶん本題です。 ここに書かれた一行を、五か月半かけて眺めます。

相手の名前でも、習慣の名前でも、役割の名前でも構いません。書けた時点で、扱える対象に変わります。

何を失うのが怖いのかを、分けて見る

執着の奥にあるものを見ていくと、たいてい恐れに突き当たります。ここも分けて考えると整理しやすくなります。

人から必要とされなくなるのが怖いのか。積み上げてきたものが無駄になるのが怖いのか。それとも、いまの立場や役割を降りた自分に見当がつかないのか。どれに当たるかで、次に必要なものが変わります。一つめなら、ほかにも居場所いばしょを作る話になります。二つめなら、これまでの時間をどう数えるかの話です。三つめは、時間をかけて探すしかない種類の問いです。

怖がっている自分を責めなくて構いません。長く握ってきたものには、握るだけの理由があったはずです。その理由を確かめないまま手を離すと、形を変えて同じものを握り直すことになりがちです。

役割を一つ、場面に分けてみる

たとえば、いつも集まりの連絡係を引き受けている場合。「日程を決める」「返事を集める」「店に連絡する」と作業を分け、続けたい部分と負担な部分を書いてみます。役割の名前だけでは一塊に見えていたものも、分けると誰かに相談できる箇所が出てきます。すべてを降りるか続けるかの結論は急がず、何を減らしたいのかを確かめるところから始めてみましょう。

断ち切ることを、目的にしない

冥王星の解説には、破壊や終わりという言葉がよく出てきます。それを目標のように受け取ると、必要のないものまで壊してしまいます。

関係を切る、仕事を辞める、住む場所を変える。どれも選べる道ですが、この期間に済ませるべき宿題として置かれているわけでもないはずです。占星術の側でも、冥王星をどこまで劇的に読むかは立場によってかなり違います。深い変化を強調する読み方もあれば、権力や支配の構造を見る読み方、心の奥にある動機を扱う読み方もあります。

いま握っているものを少しだけ緩めてみる。それで暮らしが回るかどうかを見る。この程度から始めるほうが、五か月半という長さには合っています。

惑星から外れても、軌道は変わらなかった

冥王星について、まず事実の整理をしておきます。

見つかったのは一九三〇年で、長いあいだ太陽系の九番目の惑星として扱われてきました。ところが二〇〇六年、プラハで開かれた国際天文学連合こくさいてんもんがくれんごうの総会で惑星の定義ていぎが定められ、冥王星はその条件を満たさないとされて準惑星じゅんわくせいに分類が変わりました。同じような天体が海王星かいおうせいの外側で次々に見つかり、冥王星だけを惑星として数える理由が薄れていったからです。

一方で、占星術では冥王星を今も扱い続けています。矛盾むじゅんしているように見えますが、二つの分野が見ているものが違うだけで、天文学は天体を分類する仕事をしていて、占星術は暦の上の位置に意味を重ねる読み物です。分類が変わっても、冥王星が二百四十八年かけて太陽を回っているという動きそのものは変わっていません。

星の格が下がったから解釈かいしゃくも弱くなる、という話ではなく、逆に分類変更を無視して惑星と呼び続ける必要もありません。

星座に留まる年数が、そろっていない

冥王星の軌道には、はっきりした特徴があります。円からかなり離れた楕円だえんを描いていて、太陽にいちばん近づくときと遠ざかるときで、距離が大きく変わります。

その結果、黄道上こうどうじょうを進む速さも一定になりません。占星術の側から見ると、一つの星座に留まる年数が星座によってばらつくという形で表れます。短いところでは十二年ほど、長いところでは三十年を超えます。近い例を挙げると、蠍座さそりざにいた期間は十二年ほどで駆け抜けました。

いまは水瓶座みずがめざを進んでいて、この滞在は二十年ほど続くとされています。占星術で冥王星が時代の話と結びつけて語られるのは、この長さのためです。個人の行動の結果として説明できる範囲を超えていて、同じ時代に生きている人が同じ変化のなかにいる、という読み方をします。今日の出来事の原因を冥王星に求めると、たいてい話が大きすぎて合いません。

見えない星に、いちばん重い意味が乗っている

冥王星の明るさは十四等ほどです。肉眼にくがんはもちろん、家庭用の望遠鏡でも簡単には見つかりません。

つまり、占星術でもっとも重いテーマを任されている天体は、ほとんどの人が一生見ないまま過ごす星ということになります。この星に割り振られた意味は、観測される姿から導かれたものではなく、発見された時代の空気や名前の由来から後から重ねられたものです。冥王星という名は、ローマ神話で地下の世界を治めるプルートに由来します。

見えないものに重い意味を預けるのは、人がずっとやってきたことでもあります。ただ、預けたことを忘れて「星がそう決めた」と読み替えてしまうと、自分の選択の余地が消えます。

五か月半の、初めの一週間

書いておくことは一つで足ります。手放せないもののうち、いちばん重いものの名前。

無理に結論を書かないでください。この期間は、答えを出す時間よりも、答えの手前にあるものを見る時間として使われてきました。順行じゅんこうに戻る日にその紙を開いて、まだ同じ重さで書けるかを確かめる。それだけで五か月半の使い道は足ります。心の奥の扱いについてはインナーチャイルドの項目でも触れています。

明けてからの扱いは冥王星逆行終了が引き受けています。

よくある質問

Q. 冥王星は準惑星になったのに、占星術で使うのはなぜですか

天文学は天体を分類する学問で、占星術は暦の上の位置に意味を重ねる読み物です。見ているものが違うだけで、冥王星が二百四十八年かけて太陽を回る動きは変わっていません。

Q. 冥王星逆行のあいだに、人間関係を断つべきですか

そう決まってはいません。断ち切ることを目的にすると、必要のないものまで手放してしまいます。まずは握りを少し緩めて、暮らしが回るかどうかを見るところからで十分です。

Q. 冥王星が一つの星座にいる期間はどのくらいですか

星座によってばらつきます。短いところでは十二年ほど、長いところでは三十年を超えます。軌道が円から離れた楕円で、進む速さが一定でないためです。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ(冥王星の視位置しいちおよび留の日時)
  • 国際天文学連合による惑星の定義および準惑星の分類(二〇〇六年総会)
  • 冥王星の軌道要素に関する天文資料
  • 西洋占星術せいようせんせいじゅつの諸文献ぶんけんにおける冥王星の象意しょういについての説明