海辺の夕空に点々と光る星を見上げる人
明るい点を一つ見つけるところから、夕空を眺めてみる。
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夕方の西の空を、最後にゆっくり眺めたのはいつでしょう。

惑星パレードと呼ばれているのは、複数の惑星が同じ時期に空の同じ側へ集まって見える状態のことです。今回そろうのは、水星、金星、土星、木星、天王星てんのうせい、海王星かいおうせいの六つ。火星はこの顔かおぶれに入っていません。太陽に近い方向にいて、日没にちぼつ後の空には出てこないためです。

見るなら日没の三十分後から四十分後、西から南西の空を向きます。天文の用語として決まった定義ていぎがあるわけではなく、いくつ集まったらパレードと呼ぶかは数える人によって変わります。そのぶん「何年ぶり」という言い方も資料によってばらつきます。数字より、その日に自分の目で何が見えるかを確かめるほうが、この現象とは付き合いやすいと思います。

惑星パレードがわかる3つのこと

  1. 見やすいのは日没直後の短い時間です。 金星も水星も地平線に近く、空が暗くなりきる前に沈んでしまいます。
  2. 六つとも肉眼にくがんで見えるとはかぎりません。 天王星は双眼鏡そうがんきょう、海王星は望遠鏡が要ります。数だけを聞くと壮観に思えますが、目で追えるのは四つほどです。
  3. 数日で崩れる並びではないので、日を改められます。 天気が悪ければ前後の日に回せます。

惑星パレードを見に出る、4つの手順

段取だんどりはそれほど多くありません。

  1. 日没時刻を調べ、その三十分後から四十分後を目安にする。 早すぎると明るく、遅すぎると低い星が沈みます。
  2. 西から南西にかけて、建物や木で遮られない場所を選ぶ。 高さのない星ほど、見晴らしが効きます。
  3. 明るい木星と金星を先に見つけて、そこから線をたどる。 二つを結ぶ線の延長上に、ほかの惑星が並んでいます。
  4. 双眼鏡があれば持っていく。望遠鏡は無理に用意しなくてよい。 天王星を確かめたいときだけ双眼鏡が働きます。

見つけた点を、地上の目印と一緒に残す

観察する日の星図を見たら、まず一つだけ見つける惑星を決めてみます。現地では「岬の上」「建物の右側」のように、地上の目印との位置も覚えておく。帰宅後に時刻と方角を添えて描けば、次に同じ場所へ来たときの手がかりになります。六つ全部を確かめることだけを目標にせず、一つの点に名前がつくところから始められます。

肉眼で追えるもの、道具が要るもの

いちばん見つけやすいのは木星です。日が沈むころには空に出ていて、ほかのどの星より明るいので、取り違える心配はまずないでしょう。金星も明るさでは負けませんが、地平線に近い位置にいるため、空がまだ明るいうちに沈んでしまいます。土星は木星より暗く、薄明はくめいのなかでは探すのに少し慣れが要ります。水星はさらに低く、沈むのも早いので、条件がそろわないと見つけられません。

天王星は、暗い空で位置がわかっていれば双眼鏡で捉えられる程度です。海王星に至っては望遠鏡がないと難しく、見えたとしても点にしか見えません。この二つを「肉眼で見える六惑星」に数える説明は、正確ではありません。

一直線に並ぶわけではない

惑星が一列に整列している、という説明を見かけますが、実際に起きているのはそれとは違います。

惑星はそれぞれ違う速さで、違う大きさの軌道を回っています。たまたま、地球から見た方向が近い時期にさしかかっただけです。宇宙の中で六つが一本の線の上に乗っているわけではありませんし、互いの距離は数億キロから数十億キロも離れています。

では、なぜ空の同じ側に集まるように見えるのか。惑星の軌道が、どれもだいたい同じ平面の上に乗っているからです。地球から見ると、その平面は空を横切よこぎる一本の道筋として映ります。太陽や月が通る道と同じ、黄道こうどうと呼ばれる線です。惑星はいつでもこの線の近くにいるので、方向がそろう時期には、弧を描くように並んで見えます。

つまり「並んで見える」のは、今回に限った話ではありません。惑星は普段からその線の上にいて、たまたま見える範囲に六つが入っている、というのが実際のところです。

珍しさの尺度は、数え方で変わる

この現象が話題になるとき、「一生に一度」といった言い方が添えられることがあります。

数え方次第だ、というのが実際のところです。惑星を五つに絞れば頻度ひんどは上がりますし、六つ、七つと増やせば下がります。そこに「肉眼で見えるもの限定」という条件を足すと、また数字が変わる。珍しさの尺度しゃくどが一定でないので、比べても仕方がない部分があります。

とはいえ、珍しさが薄れると値打ねうちが下がるわけでもありません。惑星が同じ方向に集まる時期は、夕方の空を見上げる理由としては十分です。普段は星に目を向けない人が、その日だけ西の空を確かめる。天体の現象が暮らしにできることは、そのくらいの規模でも足ります。

頭のなかの順番を、並べ直す

占いの側では、この日を「複数のものごとを並べ直す日」として扱う読み方があります。

いくつもの天体が同時に注目される日なので、抱えているテーマを全部一度に動かそうとしがちです。仕事も、お金も、人との関わりも、体のことも。ただ、同時に手をつけると、どれも中途ちゅうと半端に終わります。

だから、この日にできることがあるとすれば、順番を決めることです。気になっていることを紙に六つ書き、いま動かすもの、時期を待つもの、いったん外すものに分けてみる。空の並びに合わせて六つにするのは語呂合ごろあわせですが、数を区切ると書きやすくなるのはたしかです。

一つ選んだら、残りの五つは今週は見なくてよい。そう決めておくだけで、頭のなかの渋滞は少し緩みます。星が並んでいるから決められる、という話でもないのです。並んだ空を見上げた日を、区切りとして借りるだけです。

同じ時期に起きる土星海王星合(牡羊座0度)もあわせてどうぞ。

よくある質問

Q. 惑星パレードは肉眼で全部見えますか

見えません。木星と金星は明るく、土星と水星は条件しだいです。天王星は双眼鏡、海王星は望遠鏡が必要で、六つを肉眼だけでは追えません。

Q. 惑星は本当に一直線に並んでいるのですか

並んでいません。軌道がだいたい同じ平面の上にあるため、地球から見た方向がそろって見えるだけです。互いの距離は数億キロから数十億キロ離れています。

Q. 当日が曇りだったら、もう見られませんか

数日で崩れる並びではないので、前後の日に回せます。日没の三十分後から四十分後という時間帯だけ守れば、翌日以降でも同じように見えます。

出典

  • 国立天文台 ほしぞら情報(惑星の見え方および日没後の位置)
  • 天文年鑑てんもんねんかん(誠文堂新光社せいぶんどうしんこうしゃ)各惑星の光度こうどと観測条件
  • EarthSky ほか天文普及媒体による惑星集合の解説