
言いたいことがあるのに、うまく言えないまま日が過ぎていませんか。
双子座の新月は、太陽が双子座を通る六月ごろにやってきます。梅雨の入り前後で、天気が日ごとに変わり、予定が組みにくい時期。落ち着かない季節と、話題が次々に移っていくこの星座の性質は、どこか似ています。
双子座の星座絵には、いつも二人が並んで描かれています。ギリシア神話でこの二人にあてられるのはカストルとポルックスという兄弟で、片方が不死、もう片方が死をまぬがれない身だったと伝えられます。兄弟の一人が死んだとき、残った側は不死をひとりで抱えることを拒み、半分ずつ分け合う形を願った。二つでなければ成り立たないという形が、最初から置かれている星座です。
双子座の新月がわかる3つのこと
- 時期は五月下旬から六月中旬ごろ。 太陽が双子座へ移るのが五月二十一日前後。そのひと月の滞在のうちに、月が重なる日が一度あります。
- 守護星(星座と結びつけて読まれる惑星)は水星。 太陽にいちばん近い惑星で、占星術では伝令の役を受け持つとされます。会話、往復、翻訳、そして言葉を扱う星です。
- たくさん知る星座ではありません。 知ったことを外へ渡すことのほうが、この星座の役目として語られてきました。
伝令は、自分のために情報を持ちません。誰かから受け取って、誰かに渡すのが仕事です。双子座を軽い、飽きっぽいと紹介する文章はよく見かけますが、二つの視点を同時に持てると言い換えると、同じ性質がまるで違って見えてきます。飽きているのではなく、往復しているのです。
12星座の並びでは三番目。牡羊座が動き出し、牡牛座が手に持てる形にして、そのあとに他人へ伝わる言葉へ変える段階が来ます。誰にも渡せないまま持っているものは、まだ半分しか自分のものになっていない、という順番です。
書いてみるまで、輪郭はつかめません
考えていることは、書いてみるまで自分でも形が見えません。これは精神論ではなく作業の話です。
頭の中では筋が通っていたはずのことを一行にしようとすると、途中で言葉が止まります。止まった箇所が、まだ考えていなかったところです。この新月に向く願いは、その止まる場所を見つけるところから始まります。
だから「学びたい」で終わらせず、その先を一段だけ足してみてください。何を学びたいかではなく、学んだ結果として誰に何を渡したいのか。相手が決まると、言葉づかいも量も自然に決まります。
この日に効く4つの動き
- 言いたいことを、句点をつけて一行だけ書き終える
- 自己紹介を三十秒で言える長さに削る
- 返しそこねたままの短い返信を、ひとつ送る
- 保存したままの記事を三つ選んで、読まずに消す
最後のひとつを入れたのには理由があります。双子座は入り口を増やすのが得意なので、意識して閉じないと、開いた窓ばかりが残ります。
まとまる前に出してみる
「まだうまくまとまらないな」と、書きかけの言葉を眺めることがあります。そんなときは、いちばん伝えたい一文を選んでみます。思いついたときの気持ちも、そばに書き留めておきます。
渡す相手が一人だけなら、未完成でも困りません。友人に送るメッセージは論文ではないので、途中まででも受け取ってもらえます。人前に出す文章と、誰か一人に渡す言葉を、同じ完成度で考えなくて大丈夫です。
願いを人に見せる必要もありませんが、この新月については、誰か一人に話すと輪郭がはっきりするという言い方が昔からされてきました。声に出した瞬間に、自分でも思っていなかった補足がついてくる。それが、この星座が受け持つ往復です。
三十秒の自己紹介は、相手への入り口を残す
自己紹介を短くするなら、今していることと、最近関心を持っていることを一つずつ書きます。経歴を全部入れず、相手が尋ねられる話題を残す形です。声に出して長ければ、補足を一つ外してみます。実際に話した後は、相手が聞き返した言葉を覚えておくと、次の自己紹介で何を残すかの目安になります。
調べ続けることが、動かない理由になるとき
情報を集めている間は、前に進んでいる感覚があります。ここが双子座のいちばん扱いにくいところです。
調べる作業は楽しく、しかも役に立っているように見えるので、いつまでも続けられます。けれど三冊目を読み終えた時点でまだ何も外へ出していなければ、動き出しの位置は一冊目のときと同じです。
言葉の扱いにも、この時期らしい特徴があります。器用に話せる人は、話しながら自分の本音を追い越してしまいがちです。うまく説明できた話ほど、あとから「そこまで思っていなかった」と気づくもの。勢いで言い切った言葉があったら、次の満月あたりに読み返してみてください。
相手によって話し方を変えられるのも、この星座の性質です。同じ内容を子どもにも上司にも通じる形に変えられるのは、通訳の力に近いものでしょう。変えているのが言い方なのか、それとも約束の中身なのか。そこだけ自分で確かめておけば、この力は素直に働きます。
一行だけ送って寝る
この日の過ごし方は、簡単なほうがうまくいきます。
紙かメモアプリを開いて、今いちばん言いたいことを一行書く。それを誰に渡したいかを決める。渡せる相手がいれば送り、いなければそのまま残す。三分あれば終わります。シンクロニシティと呼ばれる偶然の重なりも、言葉にして外へ出したあとのほうが気づきやすくなります。
月の見えない夜なので、空を見ても手がかりはありません。かわりに、話した相手の反応が手がかりになります。返ってきた言葉のなかに、自分が本当に扱いたかった話題が混ざっていることもあります。
書いた一行を翌日にもう一度読むところまで予定に入れておくと、この日の効きがよくなります。一晩あけて読むと、勢いで書いた部分と、本当に言いたかった部分が分かれて見えてきます。残ったほうを、そのまま六月の残りのテーマにしてかまいません。双子座の下では、話題をひとつに絞ったほうが遠くまで届きます。
よくある質問
Q. 水星逆行と重なっていたらどうしますか
新しく広げる話より、止まっていた連絡を戻す側に寄せると進みます。書いた一行をすぐ送らず、翌朝に読み返してから送るくらいの間合いが合います。
Q. 人に話すのが苦手でも使える日ですか
使えます。声に出す相手がいなくても、紙に書き切るだけで往復の半分は成立します。書いたものを翌日の自分が読む、という形でも十分です。
Q. カストルとポルックスは実際に見える星ですか
見えます。冬の夜空で双子座の頭にあたる位置に、二つ並んで光っています。六月の新月のころは太陽に近く、見つけにくい季節です。
Q. 双子座生まれでなくても意味がありますか
あります。新月は12星座を順にめぐるので、双子座の新月は誰にとっても年に一度きます。
出典
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表」(朔の時刻)
- ギリシア神話におけるカストルとポルックスの伝承(複数の伝本あり)
- 占星術の一般的な文献にみる双子座と水星の位置づけ