海沿いに続く長い道を、手帳を持って眺める人
遠い先の理想のそばに、今月できる一歩を書き添えます。
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前に同じ動きがあったのは江戸時代の終わりごろ、と聞いて、どのくらい昔だと感じるでしょうか。

海王星かいおうせいが牡羊座おひつじざに入ります。太陽のまわりを一周するのに百六十五年ほどかかる星なので、十二ある星座を順にたどるにも、それだけの年月が要り、牡羊座は黄道十二宮こうどうじゅうにきゅうの先頭ですから、この星にとっては一巡ぶんの折り返し地点にあたります。

海王星は八等ほどの明るさで、肉眼にくがんでは見えない惑星です。占星術せんせいじゅつの暦では、背景に置かれる星座の名前が魚座うおざから牡羊座へ切り替わります。前に同じことが起きたのは、日本でいえば幕末ばくまつにあたります。 この長い周期が、節目ふしめとして注目される理由の一つです。

海王星牡羊座入りがわかる3つのこと

  1. ここから十三年ほど、海王星は牡羊座に留まります。 今週の予定にどう効くか、という問いの立て方をすると、たいてい答えが出ない大きさです。
  2. 「確定」は、二度目の牡羊座入りを指します。 一度入って魚座へ戻り、あらためて境目さかいめを越え直す。三度目の通過でようやく腰が落ち着きます。
  3. 前回の滞在は一八六一年から一八七五年でした。 海王星の発見が一八四六年なので、観測できたのは望遠鏡を向けていた一部の天文家だけです。

海王星牡羊座入りの十三年を、手元に下ろす4つの書き出し

十三年の話を今日の暮らしに落とすなら、単位を変えるのが早い方法です。

  1. ここ十年で自分の憧れがどう変わったか、三行で書いてみる。 変わったこと自体が材料になります。
  2. 昔から続けている理想のうち、いまも本気で思っているものに印をつける。 印のつかなかったものは、静かに外して構いません。
  3. 誰かに預けたままにしている判断を、ひとつ思い出す。 決めるのは今日でなくても大丈夫です。
  4. 十三年後の自分の年齢を、実際に計算して書き添える。 数字にすると、長さの感じ方が人によって違うことに気づきます。

最後の一行が案外きいてきます。長いと感じた人は、いま急いでいることを少し緩めてもよいのかもしれません。短いと感じた人は、後回しにしている一つを前に出す理由になります。

長い目標と、今月の一歩を別に書く

十三年後にどんな暮らしをしていたいかを書いたら、その横へ今月できることを一つ添えてみます。「絵を描き続けたい」なら、道具を取り出して一枚描く時間を予定へ入れる、といった大きさです。長い目標の隣に今日の行動を置けば、遠い先の理想を眺めるだけで終わらずに済みます。次に読み返す日も決めておくと、憧れの変化を記録できます。

「確定」がつくのは、入って戻ってまた入るから

外側を回る惑星は、星座の境目を一度では通り抜けないことがあります。海王星も、最初に牡羊座へ足を踏み入れたのは前年の春でした。そのあと逆行ぎゃっこうに入って魚座へ引き返し、しばらくそちらで過ごしてから、あらためて境目を越えます。

こうなるのは、逆行という見かけの動きがあるからです。地球も惑星も太陽のまわりを回っているので、内側の地球が外側の星を追い抜く時期には、追い抜かれる側が星々ほしぼしのあいだを逆向きに滑っていくように映ります。境目のすぐ先まで進んだところでこの向きの入れ替わりに当たると、いったん手前の星座まで押し戻されることになります。

外惑星の星座移動に「確定」という但し書きが添えられるのは、このしくみのためです。土星や天王星てんのうせいでも同じことが起こります。初回の通過を予告編、最後の通過を本編と呼ぶ人もいますが、天文の側から見れば三度とも同じ一つの動きの途中で、どれが本物ということはありません。

前に牡羊座にいたのは、江戸が終わるころ

海王星が前回この星座を通ったのは、一八六一年から一八七五年にかけてです。

日本でいえば、幕末から明治初期にあたります。世界に目を向ければ、南北戦争、ドイツとイタリアの統一、パスツールらの仕事が医学の前提を書き換えていった時期です。占星術の文献ぶんけんでは、この十四年ほどを引き合いに出して今回の意味づけをすることがよくあります。

ただ、そこは慎重に扱いたいところです。同じ星の配置だから同じことが起きる、という筋道すじみちは成り立ちません。百六十年前と今とでは、技術も制度も人口も違います。過去の時代を引くのは、それくらいの間隔でしか回ってこないという時間の桁を感じるための材料として受け取るのが、無理のない距離感だと思います。

魚座を離れる、という側面

海王星は二〇一一年からの十四年あまりを魚座で過ごしました。占星術ではこの星と魚座の相性がよいとされ、境界のあいまいさや共感が広く行き渡った時期だと読まれてきました。

そこから、始まりや自分から動くことを受け持つとされる牡羊座へ移ります。柔らかいものが輪郭りんかくを求める方向へ動く、という言い方をする書き手が多くいますが、解釈かいしゃくは立場によってかなり幅があります。どの読み方を採るにしても、この日を境に生き方を変えなくて構いません。動いたことを体で感じられる種類の出来事ではないからです。区切りとして使いたい人が使えばよい、というくらいの日として置いておくと、ちょうどよく付き合えます。

同じ牡羊座の入り口では土星海王星合(牡羊座0度)も重なります。逆行期間の扱いは海王星逆行開始のページにあります。

よくある質問

Q. 海王星牡羊座入りの日に、何か感じることはありますか

まずありません。八等ほどの明るさで肉眼では見えず、位置の変化も目で追えない天体で、暦の数字のうえで星座の名前が切り替わるだけの出来事です。

Q. どうして「確定」と書かれているのですか

一度牡羊座に入ったあと逆行で魚座へ戻り、あらためて境目を越えるためです。この二度目の通過を確定と呼び、ここから腰を据えた滞在が始まります。

Q. 海王星が次に牡羊座へ来るのはいつですか

およそ百六十五年後です。太陽を一周する時間がそれだけかかるため、同じ星座に戻ってくるまでの間隔もその長さになります。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ(海王星の視位置しいちおよび星座通過)
  • 天文年鑑てんもんねんかん(誠文堂新光社せいぶんどうしんこうしゃ)海王星の光度こうどに関する記載きさい
  • 西洋占星術せいようせんせいじゅつの諸文献における海王星の星座移動の扱い