
一九九〇年代の終わりごろ、自分が何をしていたか思い出せるでしょうか。
土星が牡羊座に入ります。この星は太陽のまわりを二十九年半ほどで一周するので、同じ星座に戻ってくるまでの間隔も、おおよそ三十年になります。一つの星座に留まるのは二年半ほど。人生のなかで何度か経験する程度の頻度で、しかも滞在が短くないという、扱いやすい目盛りを持った星です。
この日は逆行を挟んだ二度目の牡羊座入りです。前の年に一度入ってから魚座へ引き返し、あらためて境目を越え直す。「確定」はその二度目を指します。ここで押さえておきたいのは、二年余りの滞在がこの日から本格的に始まるという、区切りの部分です。
土星牡羊座入りがわかる3つのこと
- 滞在はおよそ二年半です。 資格を取る、住まいを変える、働く形を組み替える。数か月では終わらないけれど二年あれば形になる、という事柄と長さが合います。
- 前に牡羊座を通ったのは一九九六年から一九九九年です。 海王星や天王星と違って、前回を自分の記憶で照らせる人がいる星です。
- 一九九〇年代後半生まれの人は、一度目の土星回帰にあたります。 二十七歳から三十歳ごろに来る節目として語られてきました。
土星牡羊座入りの日に測る、4つの寸法
この日にできることは、大きな決断ではなく、寸法を測ることです。
- いま引き受けている約束のうち、二年後も続いていそうなものを挙げる。 続かないものは、いま無理に整えなくて構いません。
- 二年のあいだに手を離すつもりのものを、一つ決める。 決めるだけで、実行は先でも大丈夫です。
- 始めたいことがあるなら、最初の一段だけを今月の予定に置く。 全体の計画は二年かけて作れます。
- 三十年前の自分、あるいは親の三十年前を思い出してみる。 三十年という長さを実感として持てると、急ぎの度合いが測れます。
四つ目は余談のようですが、案外きいてきます。いま急いでいることの多くが、そこまで急ぎではないと気づくことがあります。
大きな計画の、最初の寸法だけ測る
住まいを整えたいなら、いきなり部屋全体を変える計画にせず、置きたい棚の幅を測るところから始められます。学び直しなら、週に使える時間を今の予定表から探してみる。完成までの道筋がまだ見えなくても、最初に必要な条件は確かめられます。二年後の姿と、今月できる作業を別々に書くと、遠い計画にも手をつける場所ができます。
サターンリターンという考え方
土星の周期を語るときによく出てくるのが、サターンリターンです。
生まれた瞬間の空で土星がいた位置に、二十九年半ほどかけて土星が戻ってくる。そのタイミングを指す言葉で、日本語では土星回帰と訳されます。一度目はおおむね二十七歳から三十歳のあいだ、二度目は五十六歳から六十歳のあたりに来ます。人によって数年ずれるのは、土星の速度が軌道の位置によって変わるためです。
このとき、進路や働き方を組み直す出来事が起きやすい、という読み方が広まっています。責任の量が変わる時期と重なることが多いから、という説明が添えられるのが一般的です。二十代の終わりや五十代の後半に生活が変わる人が多いのは、進学や就職や定年といった社会の側の区切りが集まっているから、という見方もできます。
今回の牡羊座入りでいえば、一九九六年から一九九九年ごろに生まれた人が、ちょうど一度目の土星回帰にあたります。当てはまる人は、暦の話として頭に置いておくと、変化の時期を少し引いて眺める助けにはなるかもしれません。
二十九年半という間隔の使い道
土星の一周は、人の記憶がぎりぎり届く長さです。
百六十五年かかる海王星や八十四年かかる天王星と違って、土星なら「前回この星座にいたころ」を自分で覚えている人がいます。当時を過ごした人にとっては、思い出せる範囲の過去です。
占星術がこの星に責任や時間の枠組みを結びつけてきたのも、この間隔と無関係ではないでしょう。三十年は、学校を出て働き始めた人が中堅になり、子どもが親の年齢に近づくくらいの長さです。人が「ひと区切り」と呼びたくなる幅と、たまたま重なっています。
牡羊座を、土星がどう歩くとされてきたか
古典的な占星術には、惑星と星座の相性を整理した分類があります。
土星は牡羊座で「フォール」と呼ばれる位置に置かれてきました。力を発揮しにくいとされる区分です。牡羊座に振られてきたのは、勢い、先へ出ること、思い立って動くこと。時間をかけて形を整える土星の性質とは、向きが合わないと考えられたわけです。
こう聞くと分が悪い配置に思えますが、この分類は千年以上前に整えられたもので、現代の占星術ではそのまま採らない書き手も少なくありません。合わなさを、勢いに枠を与える働きとして読み替える立場もあります。相性の良し悪しを固定した表として使うのか、傾向の説明として使うのかで、書かれる中身はかなり変わります。
土星の期間を根性の話にしない、というのがこの星との付き合い方の要になります。厳しい星という評判が先に立ちますが、扱っているのは根性ではなく、時間と量の配分です。無理のある約束を先に減らしておけば、二年半はそれほど重くありません。
同じ時期に起きる土星海王星合(牡羊座0度)、この星の逆行期間については土星逆行開始のページにあります。
よくある質問
Q. サターンリターンは誰にでも来ますか
二十九年半ほど生きていれば来ます。一度目は二十七歳から三十歳のあいだ、二度目は五十六歳から六十歳のあたりで、数年ずれるのは、土星の進む速さが一定でないためです。
Q. 土星が牡羊座で力を出しにくいというのは本当ですか
古典的な分類でフォールとされてきたのは事実ですが、現代の占星術ではそのまま採らない書き手もいます。勢いに枠を与える働きとして読み替える立場もあります。
Q. 土星が牡羊座にいるあいだ、何をしておくといいですか
二年半で形になる大きさの事柄を一つ選び、最初の一段だけ今月の予定に入れておく。あとは引き受けている約束の量を数えておけば十分です。
出典
- 国立天文台 暦計算室(土星の視位置および星座通過)
- 古典占星術のディグニティ(品位)に関する一般的な整理
- 西洋占星術の諸文献におけるサターンリターンの説明