
年が改まる時期に、勢いだけで走り出して失速した覚えはありませんか。
壬寅(みずのえとら)月は、その勢いの扱い方が主題になる一か月です。始まりは立春の日、終わりは啓蟄の前日。おおむね2月の頭から3月の頭までにあたります。
上に乗る壬(みずのえ)は、川や海のようにまとまって動く大きな水。下の寅は、地面を割って出てくる若い木です。たっぷりの水が芽に注がれる形なので、育つ勢いは強く、量が多すぎれば根が浮くという注意も同時に添えられてきました。
壬寅月がわかる3つのこと
- 年と月が同時に切り替わる節目です。 節切りの暦では立春が年の起点にあたります。
- 水が木を生む、相生(そうじょう)の組み合わせです。 相生とは、五行のうち一方がもう一方を助ける関係のことです。
- 勢いより配分が問われます。 注ぎすぎれば根が浮く、という但し書きが古くから付いています。
注ぎすぎない一か月の作り方
始動の月と言われると、あれもこれもと手を広げたくなります。ただ、2月から3月にかけては花粉や寒暖差で体調が崩れやすい時期でもあります。
水をたっぷり与えることと、絶やさず与え続けることは別の話です。 一気に注ぐより、届く量を決めておくほうがこの月には向いています。
壬寅月に向く4つのこと
- 一年でやりたいことを書き出したあと、置く順番だけを決めておく
- 使う道具や記録の場所をひとつに絞り、増やす前にまとめる
- 予定と予定のあいだに、何も入れない日をあらかじめ挟む
- 節分から立春にかけての行事を、切り替えの目印として使う
新しい予定は、最初の一週間で量を見る
運動や勉強を再開するなら、まず今週どこに時間を置けるかを確かめます。最初から毎日と決めず、実際に取り組めた日の長さを記録し、その時間なら来週も続けられるかを見ます。予定が一つ増えたら、休む時間がどこに残っているかも確認する。勢いのある初日に、ひと月分を埋めてしまわないための工夫です。
寅から数え始めるのは、決めごとだった
この寅の月が十二か月の先頭に置かれているのは、自然にそうなったからではありません。
古代中国では、年の最初をどの月に置くかが王朝ごとに違いました。夏は寅の月、殷は丑の月、周は子の月を最初としたと伝えられ、これを三正(さんせい)と呼びます。秦の時代には亥の月を年の初めに置いた記録もあります。漢のなかばに寅の月へ戻り、それが後の暦へ引き継がれました。
新しい王朝が暦の起点を変えたのは、時間の決め方を握ることが統治の証と考えられていたからだと説明されます。人が引いた線だと知っておくと、暦との距離の取り方も楽になります。
同じ寅の月でも、上に乗る干で変わる
寅の月は毎年めぐってきますが、そこに乗る干は年によって違います。壬寅になるのは、丁の年と壬の年の寅月です。
同じ「地面を割って出る芽」でも、斧のような金が上に乗る年と、大きな水が上に乗る年とでは、読み方が変わります。前者は削って形を決める向き、こちらは押し上げて伸ばす向きです。
年が改まる日そのものは立春にくわしくあります。
よくある質問
Q. 壬寅月はどのくらいの周期で来ますか
丁の年と壬の年に回ってくるので、5年に一度の割合です。月の干支は60か月、つまり5年でひとめぐりします。
Q. 相生なら良いことが起きるのですか
相生は助ける向きを示す言葉で、良し悪しを決める札ではありません。育てる力が強すぎれば負担になる、という読み方も昔から並んで伝わっています。
Q. 年賀状の干支と占いの本の干支が違うのですが
年賀状は元日で、節切りの暦は立春で年を切り替えます。1月のあいだは表記が食い違うので、どちらの話かを先に決めておくと混ざりません。
出典
- 国立天文台 暦計算室「二十四節気および雑節」
- 三正(夏正・殷正・周正)および歳首の変遷に関する暦学の一般的な解説
- 十干十二支の五行配当と相生に関する四柱推命の一般的な解説