
暦の本によって節気の日付が1日違っていて、どちらが正しいのか迷ったことはありませんか。
癸卯(みずのとう)月の入り口である啓蟄は、3月5日の年もあれば6日の年もあります。書き間違いではなく、実際に動いているからです。終わりは清明の前日で、3月から4月にまたがる一か月になります。
上に乗る癸は、雨や露、霧のような細かい水。下の卯は、地上で伸びていく草木です。前の月が大きな水で押し上げる形だとすれば、こちらは霧雨が葉を絶えず湿らせるような支え方として語られてきました。
癸卯月がわかる3つのこと
- 少しずつ与え続ける形の組み合わせです。 勢いで押し上げるのではなく、絶やさないほうに重心があります。
- 入り日は年によって前後します。 3月5日のときも6日のときもあり、どちらも正しい年があります。
- 水が木を生む関係にあります。 五行のうち一方が他方を助ける関係を、相生(そうじょう)と呼びます。
育つ速さに、こちらを合わせる
霧雨は一度に多くを与えません。そのかわり止まりません。この月の使い方も、同じ考え方に寄せると無理がありません。
先の予定を埋めきってしまわず、伸びる向きが見えてから足す。 気温の上下が大きい時期でもあるので、量を決めるより回数を保つほうが続きます。
癸卯月に向く4つの工夫
- 始めたことの進み方を、週ごとに短く書き留める
- 予定を先まで埋めず、様子が見えた分だけ足していく
- 寝る時刻を先に固定して、寒暖差で崩れる幅を小さくする
- 土や植物に触れる用事をひとつ作り、変化を目で追う
同じ場所を、週に一度見て記録する
植物の変化を追うなら、散歩道の同じ枝や家の鉢を一つ選びます。週に一度、葉が開いたところや色の変化を一行残す。自分の習い事も同じように、前の週から動いた点だけを記録できます。進みが見えなかった週には、時間を取れたかどうかを残しておくと、量を増やす前に予定を見直せます。
なぜ節入りの日は動くのか
二十四節気は、太陽が黄道上のどこに来たかで決まります。啓蟄は黄経345度に達した瞬間で、日付ではなく時刻に結びついた出来事です。
地球が太陽をひとまわりするのにかかる時間は、約365日と6時間弱。日数にぴったり収まりません。そのため同じ節気の瞬間は、翌年には6時間ほど遅い時刻に来ます。2年で半日、3年で18時間。ずれが溜まっていくうちに、日付をひとつまたぐ年が出てきます。
4年に一度、2月に1日足すことでこのずれが巻き戻ります。うるう年をはさむと節気は前へ戻り、また少しずつ遅れていく。 入り日が数年ごとに行き来するのは、この繰り返しの結果です。
境目に生まれた人が知っておくとよいこと
生まれた日が節入り日と重なる場合、この1日が月の干支を分けます。
- その年の節入り時刻が載っている資料まで確かめる
- 本によって日付が違っても、片方が誤りとは決めつけない
- 自分の月干支が境目にあるときは、両方の説明を読み比べる
暦の計算そのものは精密ですが、そこから人を区切る線は人が引いたものです。境目にいる人ほど、その事情を知っておくと落ち着きます。
虫が動き出すという節気の名は啓蟄で読めます。
よくある質問
Q. 癸卯月はいつめぐってきますか
丁の年と壬の年の卯月が癸卯です。5年おきに回ってくることになります。
Q. 節入り時刻まで見る必要はありますか
流派によって扱いが分かれます。時刻まで見て前後を分ける立場と、日付で切る立場があり、境目に生まれた人はどちらの表を使ったかで結果が変わります。
Q. 前の月の壬寅とは何が違いますか
どちらも水が木を育てる向きですが、水の量が違います。大河が注ぐ形と、霧が湿らせる形。支える速さが違うと考えると、並べて読みやすくなります。
出典
- 国立天文台 暦計算室「二十四節気および雑節」
- 太陽黄経による節気の定義およびうるう年の調整に関する暦学の一般的な解説
- 香港天文台「天干和地支」表四・年干と月干の対応