
庭やベランダの土をいじる日を、暦で気にしたことはありますか。
甲辰(きのえたつ)月は、その気にしかたに関わる期間を後半にかかえた一か月です。清明に入る日から始まり、立夏の前日で終わります。4月5日ごろから5月5日ごろまでが目安です。
この後半に、春の土用(どよう)が重なります。 土用とは、季節の変わり目に置かれた18日ほどの期間のこと。夏の土用ばかりが知られていますが、春にもあり、立夏の直前がそれにあたります。
甲辰月がわかる3つのこと
- 一か月の途中で性質の違う期間が始まります。 前半は清明の季節、後半は春の土用です。
- 土を掘る作業を避ける習わしがあります。 着工や庭の掘り返しなどが挙げられてきました。
- 避けなくてよい日も決まっています。 間日(まび)と呼ばれ、春の土用では巳・午・酉の日です。
土用のあいだ、どう動くか
土用には土公神(どくじん)という神が土のなかにいるとされ、土を掘り返す作業を控える習わしが伝わってきました。
面白いのは、禁止と例外が同じ体系のなかに組み込まれているところです。間日は神が天へ上がって土を離れるとされる日で、作業をしてもよいと説明されます。どの日が間日になるかは十二支で決まります。守れないと困る決まりではなく、農作業の都合と折り合いをつけながら受け継がれてきた形が見えます。
甲辰月に向く4つのこと
- 年度が替わって増えた予定を、削る方向で並べ直す
- 大きく動かす前に、置き場所や進め方だけを決めておく
- 土を触る用事を入れるなら、間日を目安に日を選ぶ
- 雨の多い時期なので、動く日と休む日を先に分けておく
工事の日取りを気にする人がいる一方で、まったく考慮しない現場もあります。相手のある予定なら確かめ、自分だけのことなら気になる範囲で使う。そのくらいの扱いが無理のないところです。
土用は節気ではなく、雑節のほう
二十四節気は太陽の位置で機械的に決まる目盛りですが、土用は雑節(ざっせつ)と呼ばれる別の区分です。雑節とは、二十四節気を補うために日本で整えられた暦の区切りを指します。
土用の由来は、五行を季節に配るときの余りにあります。春は木、夏は火、秋は金、冬は水。四つの季節に四つを当てると、土がひとつ余ります。そこで各季節の終わりに18日ほどの土の期間を置いて、五つを収めました。土用が年に4回あるのは、この割り振りの結果です。
辰の月に春の土用が入るのは偶然ではなく、辰そのものが土に配された支であることと重なっています。
太い根が、地面を持ち上げる
甲は陽の木で、まっすぐ立つ大木や柱にたとえられます。辰は五行では土。木は土を剋(こく)す関係、つまり木が土を抑える側です。
草の根がじわじわ入り込むのに対して、こちらは太い根が地面を持ち上げる絵で語られます。力の入り方が強いぶん、土の側は形を変えられる。方針を立てる月として説明されるのは、この向きからです。
春の土用の詳しい話は春の土用入りにあります。
暮らしの中で試すなら
鉢の植え替えを考えているなら、まず今の置き場所の日当たりと、使える鉢の大きさを確かめます。道具を洗って並べ、作業後に土を片づける場所まで決めておくと、当日の負担が減ります。日取りを家族と相談するときも、準備と実際に土を触る作業を分けると予定を合わせやすくなります。
よくある質問
Q. 土用のあいだは引っ越しもだめですか
土を掘る作業を避ける習わしなので、引っ越しそのものは対象外とする説明が一般的です。伝わり方は地域や家によって差があります。
Q. 甲辰月はどのくらいの周期で来ますか
丁の年と壬の年の辰月が甲辰です。5年おきにめぐってくる計算です。
Q. 清明はどんな節気ですか
「清浄明潔」を縮めた言葉とされ、草木の色がはっきりしてくる時期を指します。くわしくは清明にあります。
出典
- 国立天文台 暦計算室「二十四節気および雑節」
- 土用・間日および土公神の習わしに関する暦注の一般的な解説