
四か月というのは、忘れるには十分な長さだと思いませんか。
木星が順行に戻る日です。逆行に入ったころに何を考えていたか、思い出せないという人も多いでしょう。占星術では、学ぶこと、視野を広げること、自分が何を信じているかという領域が、内側での問い直しから外の行動へ戻る節目として読まれてきました。
この日にふさわしいのは、大きく打ち上げることではなく、方向を一つに決めることです。 四か月かけて数え直した手持ちのなかから、これから広げるものを選ぶ。選んだあとは、木星の性質にまかせておけば自然と大きくなります。
木星逆行終了がわかる3つのこと
- 選ぶ日であって、始める日ではありません。 方向を決めれば、広がり方は後からついてきます。
- 同じ星座を三度目に通ります。 行き、戻り、そしてもう一度という順です。
- 星座を出るまで半年ほど。 順行に戻る時点で、滞在は後半に入っていることが多くなります。
広げる前に、方向を一つ決める
逆行のあいだに、続けたいものと手放してよいものが見えてきたはずです。順行に戻る日には、そこから一つだけ選びます。
順行に戻る日に向く4つ
- 学び直したことのうち、これから一年かけて深めるものを一つ選ぶ
- 止めたままにしておく予定を一つ、はっきり決める
- 新しく始めるなら、いま手元にあるものと地続きのものを選ぶ
- 広げる先を、場所か人かテーマのどれかで具体的に書く
一つに絞るのが惜しく感じるかもしれません。ただ、木星の領域では、選ばなかったものが消えてしまうわけでもないのです。関心が本物なら、深めているうちに向こうからつながってきます。手を広げて薄くするより、一つの関心を深め、そこからつながりを広げるほうが、この星の動き方に合っています。
止める予定を決めるのも、同じくらい大事です。四か月の棚卸しで気になっていた「なんとなく続いているもの」は、順行に戻った勢いに乗せると、また一年続いてしまいます。判断に迷ったら、来年の同じ時期にもこれを続けている自分を想像してみてください。想像して気が重くなるなら、答えは出ています。
選んだ一つは、口に出すか書き留めるかしておくと固まります。頭のなかに置いたままだと、来週にはもう別のものが混ざってきます。木星の広げる力は、対象が決まっているときにいちばん素直に働きます。
誰か一人に届けるところから
学び直したことを外に出すとき、いきなり広い相手を想定すると手が止まります。
まず一人だけ決めてください。数年前の自分でも構いませんし、同じことで困っている知人でも構いません。その一人に説明するつもりで言葉にすると、どこが自分でも分かっていない部分かがはっきりします。木星は遠くへ届く力を持つ星とされますが、届く言葉は、たいてい誰か一人に向けて書かれたものです。
一人に説明できるようになったら、あとは同じ説明を繰り返すだけで届く範囲は広がっていきます。順序を逆にすると、誰に向けたものでもない話が残ります。
大きく見せることと、深く信じること
木星の逆行明けにいちばん起きやすいのは、規模の話に寄っていくことです。もっと大きく、もっと多く、もっと目立つように。拡大の星である以上、この方向に引っぱられるのは自然でもあります。
ただ、四か月かけて見直したのは規模ではなく中身だったはずです。なぜそれを学んだのか。何を信じているから続けたいのか。ここが自分のなかで言葉になっていれば、多少うまくいかない時期があっても手が止まりません。逆に、外から見える大きさだけを目標にすると、伸びが止まった瞬間に理由が失われます。
信じていることが四か月前と変わっていたなら、それは失敗ではありません。木星の逆行は、前提を入れ替えるための期間だと語られます。変わった前提のほうを採用して、そこから広げ直せば済みます。占星術の読み方は流派によって幅がありますが、この期間を更新の時間と見る点では、おおむね共通しています。
その星座を出るまでにできること
木星がいまの星座にいる期間は、一年ほどです。順行に戻った時点で、その滞在期間はすでに後半に入っていることが多くなります。
いま選んだテーマに取り組める時間には、ゆるやかな区切りがあります。急ぐ必要はありませんが、いつまでも準備を続けていられるわけでもありません。次に木星が星座を移るころ、この一年で何が形になったかを見返せるように、今週のうちに最初の一歩を決めてしまうのが得策でしょう。
ノートに書くのは三行です。これから広げる学びをひとつ。それを信じて進める理由をひとつ。最初に届ける相手をひとり。四か月前に書いたページがあるなら、並べて読んでみてください。
同じ場所を、三度目に通り過ぎる
ここから仕組みの話です。
順行に戻った木星は、逆行のあいだに後戻りしてきた道をもう一度たどり直します。一つの星座に一年ほど滞在する木星は、その滞在のなかで同じ度数を三度通ることになります。行きに一度、逆行で戻るときに二度目、そして順行に戻ってから三度目です。
占星術でこの三度の通過が語られるとき、三度目は仕上げの段階として扱われるのが一般的です。一度目に広げ、二度目に見直したものを、三度目で形にする。順行に戻るこの日は、その三度目の入り口にあたります。
天文の側から見れば、地球が木星を追い抜いたあとの、見かけの位置が整っていく過程にすぎません。それでも、同じ場所を三度通るという事実自体は暦のうえで確かめられます。この形を借りて自分の一年を区切ってみるのは、木星らしい使い方だと思います。
夜空からは、そろそろ離れていく
順行に戻った木星は、太陽との見かけの距離を少しずつ縮めていきます。真夜中に高く見えていた時期は過ぎ、宵の空へ、やがて夕方の低い空へと下がっていくでしょう。数か月後には太陽の方向に近づいて見えなくなり、その先で明け方の東の空に戻ってきます。この一巡がおよそ十三か月で、そのまま次の逆行へつながります。
見えている時期に観測を済ませておく、というのは天文の世界では当たり前の段取りです。同じ考え方は、この日の過ごし方にも当てはまります。手元にあるものがよく見えていた四か月のうちに気づいたことを、まだ覚えているうちに形にしておく。時間が経つと、何に引っかかっていたのかも思い出せなくなります。
期間の入り口については木星逆行開始で扱いました。
暮らしの中で試すなら
説明する相手を一人決めたら、その人が聞きそうな質問を一つ書きます。「初めてなら何から始める?」に答えるつもりで、必要な道具と最初の手順だけをまとめてみましょう。話してみて説明が長くなるところは、自分でもまだ整理したい箇所です。そこを学び直す題材として残せば、外へ伝えることが次の学びにつながります。
よくある質問
Q. 順行に戻った日から急に動き出したほうがいいですか
急ぐ必要はありません。まず方向を一つ決めて、最初の一歩の日付だけ入れておくほうが後が続きます。
Q. 四か月前に決めたことを忘れてしまいました
書いたものが残っていなければ、いまの手持ちから選び直せば十分です。逆行の期間は、前提を入れ替えるための時間とも読まれてきました。
Q. 三度目の通過というのは何のことですか
木星が一つの星座にいるあいだに、同じ度数を行き・戻り・再びと三度通ることを指します。三度目は仕上げの段階として扱われます。
出典
- 国立天文台による木星の会合周期に関する資料
- 各種暦書に記載された木星の黄経の推移
- 西洋占星術の諸文献に見る木星の扱いと解釈の違い