
止めていたことを、一気に取り戻したくなっていませんか。
火星が順行へ切り替わります。占星術では、行動する力、勝ち負けをめぐる気持ち、怒りといった領域が、内側での問い直しから外の行動へ戻る節目として読まれてきました。七十日前後にわたって内向きに使っていた熱を、ここからどこへ向けるかを決める日です。
注意したいのは、この日が「解禁日」ではないことです。止まっていた分を取り戻そうとして一気に走り出すと、逆行の期間に整えたはずの配分がその日のうちに崩れます。 火星は勢いを与える星とされますが、勢いは配りどころを間違えると、いちばん早く自分を削ります。
火星逆行終了がわかる3つのこと
- 逆行はおよそ七十日でした。 次に逆行するのは二年二か月ほど先です。
- 解禁日ではありません。 反動でつけた速度は、数週間で息切れします。
- 体から先に戻すのが安全。 予定を戻すのは、体が戻ってからです。
体から戻していく
順番としては、体を先に戻すのがいちばん失敗が少ない方法です。
再開に向く4つの順番
- 止めていた運動を、以前の半分ほどの負荷で再開する
- 睡眠の時間を、増やした状態のまま二週間は保つ
- 予定を戻すのは、体が戻ってからにする
- 挑戦したいことを一つだけ選び、日付を入れる
体が動くようになると、判断も自然に前向きになります。逆に、気持ちだけ先に立て直そうとすると、うまくいかない自分を責める材料が増えるだけです。この順番は、火星が体力と行動の両方を受け持つ星だとされてきたことにも重なります。
挑戦を一つに絞るのも大事なところです。逆行のあいだに「やりたい」がいくつも溜まっているはずですが、全部に手を出すと、どれも中途半端なまま次の停滞が来ます。選ぶ基準は、いちばん心が動くものではなく、いちばん続けられそうなものにしておくと安全でしょう。心が動くほうは、続けているうちに自然と混ざってきます。
日付を入れる、というのも忘れないでほしいところです。やると決めただけの挑戦は、順行に戻った高揚が薄れるとともに消えます。初回の日時を予定に書き込み、そこだけは動かさない。それで半分は片づきます。
反動でつけた速度は、続かない
止まっていた期間が長いほど、明けた直後の反動は大きくなります。火星の場合は間隔が二年以上あるので、この反動もそれなりに強く出ます。
よくあるのは、予定を一気に埋めること、運動の負荷をいきなり元へ戻すこと、保留にしていた話し合いを強い言葉で切り出すことです。どれもその日は前に進んだ気がしますが、数週間後に息切れが来ます。逆行のあいだに体力を落としていたなら、なおさらです。
再開の速さを決めるときは、明日も同じことができるかを基準にしてください。 一日だけ全力を出せる予定表は、続きません。火星が扱うのは瞬発力だけでなく、押し続ける力でもあります。
悔しさが、目的に変わっているか
逆行の期間に出てきた感情を、ここでもう一度見てください。
腹が立ったこと、悔しかったこと、負けたと感じたこと。それらが今も同じ形で残っているなら、相手を責める段階から先へ進んでいません。逆に、「だから自分はこうする」という文に書き換えられているなら、熱の使い道が定まったということです。
書き換えの目安は、主語が自分になっているかどうかです。あの人が変わってくれたら、という形のまま残っている願いは、行動に落ちません。自分が何を始めるか、何をやめるか、誰に何を伝えるか。そこまで具体化されていれば、順行に戻った火星と合います。
なお、こうした読み方は西洋占星術で広く語られてきたものですが、火星をどこまで感情の星として扱うかは立場によって違います。健康や体力の面を重く見る読み方もあり、どれか一つに合わせなくて構いません。
言わずに置いてきたことを、伝えるとしたら
逆行の期間に、送らずに寝かせた言葉があるかもしれません。順行に戻ったこの日は、それを開き直すのに向いています。
七十日前に書いたときと同じ強さで伝えたい、と思えるものは、たぶんそう多くありません。読み返して恥ずかしくなるものは、そのまま置いておけばいい。それでも消えずに残っているものだけが、伝える値打ちのある内容です。
伝えるときは、要求を一つに絞ってください。三つ並べると、相手はいちばん受け入れやすいものだけを拾って、残りをなかったことにします。何を変えてほしいのか、いつまでにどうしてほしいのか。過去の不満を並べるより、これから先の条件を一つ提示するほうが話は動きます。火星の力は、押す方向を絞ったときにいちばん効きます。
明るさが落ちてきたころ、向きが戻る
ここから空の話です。
順行に切り替わるころ、空の火星はすでに地球から遠ざかり始めています。逆行の中ほどで地球といちばん近い位置関係を通り過ぎ、そこから距離が開いていくため、明るさも見かけの大きさも少しずつ落ちていきます。真夜中に高く昇っていた火星は、日を追うごとに宵の空へ移り、夕方の西寄りに見える時期へ入っていきます。
この移り変わりは、そのまま再開の作法として読めます。もっとも目立った時期は過ぎ、ここからは長く続く形に整える段階に入る。逆行明けを大きな号砲として扱うより、静かに舵を戻すほうが天の動きには合っています。
夕方の西空に赤い星を見つけたら、それが遠ざかっていく火星です。数か月かけて少しずつ暗くなり、やがて太陽の光に紛れて見えなくなります。派手さが落ちても、火星がなくなったわけではありません。目立たない場所で動き続けるほうが、この星の持ち味に近いのかもしれません。
次に逆行するのは、二年以上先
火星の逆行は、次まで二年二か月ほど空きます。惑星のなかでは間隔が長いほうで、計画を立てるうえでは使い勝手のよい目盛りになります。
いま再開しようとしていることが、二年後にどうなっていてほしいか。そこまで見てから今週の行動を決めると、目先の反動に振り回されにくくなります。二年あれば、体を作り直すことも、資格を取ることも、仕事の形を変えることも射程に入ります。逆行明けの熱を、その長さに配るつもりで使ってください。
順行に戻った日の三行
書くことは決まっています。再開する行動をひとつ。その力を何のために使うかをひとつ。今日はやりすぎないと決めることをひとつ。
三行目を飛ばさないでください。火星の逆行明けに足りなくなるのは、やる気ではなく歯止めのほうです。 七十日前に書いたページが残っているなら、並べて読み比べてみると、この期間に何が動いたかがはっきりします。
期間の入り口については火星逆行開始で扱いました。
暮らしの中で試すなら
中断した作業を再開するなら、最初に道具を出し、前回どこまで進めたかを確認します。今日は一段落書く、部品を一つ確かめる、など終わる位置を先に決めてみましょう。終わったら次にすることを一行残すと、勢いに頼らず翌日も取りかかりやすくなります。
よくある質問
Q. 順行に戻った日から全部再開していいですか
体から順に戻すほうが失敗が少なくなります。運動は以前の半分ほどの負荷から、予定は体が戻ってから戻します。
Q. 逆行のあいだに溜まった「やりたい」が多すぎます
一つに絞って日付を入れてください。基準は、いちばん心が動くものではなく、いちばん続けられそうなものです。
Q. 保留にしていた話し合いは、いつ切り出せばいいですか
七十日前と同じ強さで伝えたいと思えるものだけに絞ります。伝えるときは、要求を一つに絞ると話が動きます。
出典
- 国立天文台による火星の会合周期および地球接近に関する解説
- 各種天文資料に記載された火星の光度と視直径の推移
- 占星術の文献に見られる火星の解釈の幅