そら豆のさやを開く手と、新玉ねぎやアスパラガス
手元の食材に触れて、春の終わりを味わう。
絵を大きく見る

お金の話から入る案内ばかりで、少し疲れていませんか。

ブルズゲートは、太陽が牡牛座おうしざに入るころから始まるとされる期間で、その入口がこの日です。日本の暦では穀雨こくうの前後。春の雨が穀物こくもつを育てるという意味の名前がついた時期で、田畑たはたの支度したくが本格化するころにあたります。

牡牛座に重ねられてきたのは、五感、所有、安心、そして続けられる豊かさです。頭より先に身体が反応する領域、と言ってもいいかもしれません。 前の扉が寒さの底にあったのに対して、こちらは土がゆるみきったところで開きます。

ブルズゲート開始がわかる3つのこと

  1. 入口は四月二十日ごろ。 太陽が牡牛座に入る日が起点きてんになります。
  2. 穀雨と重なります。 春の雨で作物が育つとされる、種まきの適期てききです。
  3. 金運より先に触り心地。 増やす前に、受け取る器を整えるほうが筋が通ります。

買い足すより、器を整える

開始日は、まだ何かを増やす時期ではありません。受け取るための器を整えるほうが、この時期の空気には合っています。

牡牛座の入口に向く4つ

  1. 財布の中身を全部出して、レシートと使わないカードを抜く
  2. 冷蔵庫を空にする方向で一週間の献立を組む
  3. 枕やタオルなど、肌に毎日触れるものを一点だけ替える
  4. 固定費の明細を、金額ではなく「まだ要るか」で眺め直す

どれも派手さはありませんが、身体が落ち着く方向へ動く行為です。牡牛座の期間に金運の話が集まりやすいのは事実です。それでも入口としては、お金より先に触り心地を見るほうが順序として自然です。

散財しやすい時期でもある

あわせて書いておくと、この時期は財布のひもがゆるみます。心地よさを基準にすると、触って気持ちがいいものは、たいてい値段も相応です。

買うなというより、その日のうちに決めない、という一手を挟んでおくと後悔が減ります。翌日まで覚えていたものだけ買う。それでも十分、この季節の恩恵おんけいは受け取れます。

この時期の案内には、収入や臨時収入を強調するものが少なくありません。ただ、牡牛座が象徴しょうちょうしてきたのは、増やす力より持ち続けられる力のほうです。手に入れたあとで安心していられるかどうか。そこが抜けると、増やしても落ち着きません。

牛が、一年の先頭に立っていた時代

なぜ牛なのか。理由のひとつは、この星座がかつて春の起点にあったことです。

地球の自転軸じてんじくはコマのようにゆっくり首を振っていて、春分点の位置は約二六〇〇〇年かけて黄道こうどうを一周します。この歳差さいさの計算をさかのぼると、およそ紀元前四〇〇〇年から二〇〇〇年ごろ、春分点は牡牛座のあたりにありました。メソポタミアやエジプトで雄牛おうしが神聖な動物として扱われ、王権や豊穣と結びつけられていたのは、この時代と重なります。

時代が下ると、雄牛は四つ組の象徴のひとつとして残りました。獅子しし・鷲・人と並ぶ牛。四つのうち、家畜かちくとして人の暮らしに直接組み込まれているのは牛だけです。耕し、運び、乳を出し、最後には捧げ物にもなる。豊かさをこの動物で表そうとした感覚は、抽象的な繁栄というより、日々の食べものに近いところにありました。

支配星が金星であること

この星座の性格を決めているのが支配星しはいせいです。牡牛座を受け持つとされるのは金星で、西洋占星術せいようせんせいじゅつでは美しさ、心地よさ、そして価値を測ることに結びつけられてきました。

同じ金星が受け持つ天秤座てんびんざが、人との釣り合いに向かうのに対して、牡牛座のほうは自分の手に残るものへ向かうと説明されます。触れる、味わう、持ち続ける。この扉の話がどれも身体寄りになるのは、そういう配置のためです。

なお、期間の区切り方には幅があります。太陽が牡牛座に入る日は計算で決まりますが、ゲートとしてどこからどこまでを数えるかは、案内する人によって差があります。現代に広まった呼び名で、読む資料の期間と、そこで勧められている過ごし方を合わせて確かめられます。

雨の音を聞ける日に

穀雨のころは、静かな雨がよく降ります。窓を開けて音を聞くだけでも、この時期らしい過ごし方になります。

食べものでいえば、新玉ねぎ、そら豆、アスパラガス。春の終わりの野菜は水分が多く、味が薄いようでいて甘い。噛んだときにおいしいと感じられるかどうかは、その日の体調の目安にもなります。グラウンディングという言葉が指しているのも、そう難しいことではなく、足の裏と地面の関係を思い出す程度のことです。

暮らしの中で試すなら

冷蔵庫を見直すなら、残っている野菜を先に三つ書き、それを使う食事を一回分だけ考えます。足りないものを買う前に、家にあるものを使える形へ整える作業です。食べ終わったあと、次も買いたいものが残れば、今の自分が好む味も見えてきます。

よくある質問

Q. ブルズゲートの開始日は毎年同じですか

太陽の牡牛座入りが起点なので、四月二十日前後で年ごとに一日ほど動き、案内によって数え方が違うこともあります。

Q. この日に財布を新調したほうがいいですか

決まりはありません。新調しんちょうするより、いまの財布の中身を減らすほうが、入口の過ごし方としては合っています。

Q. 牡牛座生まれでなくても関係がありますか

太陽が牡牛座を通る期間の話なので、生まれた星座を問わず同じ空の下にいます。生まれ星座の人だけの日ではないのです。

出典

  • 歳差運動さいさうんどうと春分点の移動に関する天文学の一般的な解説
  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ「二十四節気にじゅうしせっきおよび雑節ざっせつ」における穀雨の定義ていぎ
  • 古代メソポタミア・エジプトにおける雄牛信仰に関する各種美術史の解説