
毎月の引き落としに合計いくら払っているか、いま即答できますか。
己巳の日は、その日の干支が己巳にあたる日です。日の干支は十干と十二支を組み合わせて六十通りで一巡するので、己と巳がそろう日は六十日に一度、一年に六回または七回めぐってきます。 蛇の日そのものは十二日ごとに来ますが、そこに己が重なる機会となると、ぐっと減ります。
この日は弁財天の縁日のなかでも特に重んじられ、社寺によっては己巳の日にあわせた祭礼や特別な授与が行われます。理由の説明は一つに定まっていませんが、六十通りの干支のうち巳を含む組み合わせのなかで、格の高いものとして語り継がれてきた、という言い方がよくされます。
金運の日として案内される一方で、この日には落ち着いた性格があります。稼ぐ側ではなく、収める側に重心がある日です。 その理由は後半で見るとして、まずは何をする日なのかから。
己巳の日がわかる3つのこと
- 六十日に一度の定期点検の日です。 家計簿を毎日つけるのは大変ですが、二か月に一度なら現実的な間隔です。
- 増やす工夫ではなく、漏れをふさぐ工夫に向きます。 己は五行の土にあてられ、蓄える器の側を担う字だからです。
- 弁財天を祀る社寺が特別扱いする日です。 普段は閉じている扉が開くこともあり、行事の日程は社寺ごとに違います。
六十日ごとの棚卸しに使う
間隔が長いことを生かして、定点の記録日として置くと使い勝手がよくなります。同じ日を基準にして数字を並べていくと、一回目より二回目、二回目より三回目のほうが読み取れることが増えます。この日の値打ちは、単発の運試しより、こうした置き場所のほうにあります。
記録はノートの見開き一枚に収めておくと続きます。細かく分けすぎると、次に開くのが億劫になるからです。
己巳の日に書き出す5つの数字
- 口座の残高を、前回の記録と並べて書きます。 増えたか減ったかだけで十分で、原因の分析はいりません。
- 毎月引き落とされているものの合計を出します。 一覧にすると、使っていないものが一つか二つ見つかります。
- この六十日で入ってきた金額を書きます。 手取りでも売上でも、自分がふだん見ている数字でかまいません。
- 自分の仕事や活動の値づけを書き写します。 据え置きのままでよいかを、年に六回は考える機会があることになります。
- 前回のページに書いた予定を読み返し、続いたことと止まったことに印をつけます。 印だけで、理由は書かなくて構いません。
三つだけでよいなら、残高・固定費の合計・入ってきた金額。この三つを並べておけば、半年後に見返したときに変化の向きは十分わかります。
参拝を考えるなら
弁財天を祀るところでは、己巳にあたる日に大祭や特別な祈祷を行う例があります。六十日ごとの節目に人が集まり、寺社の行事と暦の周期は昔から互いに支え合ってきました。
ただ、扱いは社寺ごとにかなり違います。特別な授与品が出るところ、普段どおりのところ、事前の申し込みが要るところ。行ってから戸惑わずに済むよう、その社寺がこの日をどう扱っているかを先に確かめておくほうが安心です。受付が早い時刻に終了することもあります。
強い日と言われるときに起きやすいこと
金運の強い日として案内されると、臨時収入への期待が先に立ちます。宝くじや投資の話がこの日に集まりやすいのも、そのためです。
願うことを止める必要はありませんが、期待の置き場所は選べます。何が起きるかを待つ側に立つのか、何を動かすかを決める側に立つのかで、同じ一日でも残るものが変わります。入ってくる側だけを見ていると、動かなかった日は空振りに終わります。出ていく側、つまり固定費や利率や手数料を一つ整えれば、金額はささやかでも確実に手元の形が変わります。土という字が持っているのは、そういう地味な作業のほうです。
十干と十二支が「己巳」でそろう
六十干支の並びでいうと、己巳は六番目にあたります。甲子から数えて五つ進んだところ、まだ周期の序盤です。六十日の流れのなかでは、始まった動きが形になりかけている位置と読まれることがあります。
十干は十日で一巡し、十二支は十二日で一巡します。両方の周期の最小公倍数が六十なので、特定の組み合わせは六十日ごとにしか戻ってきません。十干と十二支を一日ずつ進めると、六十日目に同じ組み合わせへ戻ります。
十干と十二支の組み合わせは、理屈のうえでは百二十通りありそうに見えます。しかし実際に暦へ現れるのは六十通りだけです。十干も十二支も偶数で並ぶため、陽の十干は陽の十二支と、陰は陰としか組みません。己は陰の側にあり、巳もまた陰の側です。この釣り合いが取れた組み合わせだけが暦に立つ、というところが、干支という数え方の面白い性質です。
「己」という字が担ってきたもの
己は、五行では土にあてられます。十干を陰陽で分ける言い方では土の弟、つまり穏やかな土の側です。土は、蓄える、収める、育てる場所として読まれてきました。畑であり、蔵であり、器でもあります。
一方の巳は火にあてられます。五行の関係では、火が土を生むという流れに置かれます。燃えたあとに灰が残り、灰が土を肥やす、という順序です。この組み合わせを財の話に読み替えると、勢いのあるものが器に収まっていく形になります。収める側に重心がある日、という読み方はここから出てきます。
五行を用いた解釈には流派ごとの違いがあります。土を器にたとえるこの読み方からは、蓄えを収める場所や、その管理に目を向けられます。
珍しさが格を上げてきた
暦の世界では、条件の細かい日ほど格が高く扱われる傾向があります。年に数回の日と、月に何度も来る日を同じ重みで並べるわけにはいかないからです。己巳の日が蛇の日のなかで抜き出されたのも、この感覚に沿っています。
珍しい日だと知ると、今日の過ごし方へ気持ちを向けやすくなります。六十日ごとにめぐってくると知れば、その日をなんとなく過ごすのが惜しくなります。暦の日付が持つ力の多くは、そういう心の動きに支えられています。
弁財天と土のあいだにあるもの
弁財天はもともと水の神です。そこに土という要素が重なるところに、この日の性格が出ます。
水と土は、放っておくとぶつかります。水は流れようとし、土は留めようとする。ただ、田を思い浮かべればわかるように、この二つが合わさったときに実りが出ます。畦がなければ水は流れ去り、水がなければ土は乾く。己巳の日を金運の話として読むなら、稼ぐ力と留める仕組みの両方を見る日、という受け取り方がしっくりきます。
家計でいえば、収入を増やす工夫と、出ていく穴をふさぐ工夫は別の作業です。前者ばかり考えて疲れている人は多いのですが、六十日に一度くらいは後者に時間を使ってもよいはずです。畦を直す作業に近いことをすると、この日らしい手応えが残ります。蛇と弁財天の縁については巳の日でくわしく触れています。
参拝の日は、帰り道にも楽しみを
己巳の日に参拝を考えたら、社寺の案内で受付時間や行事を確かめ、行き帰りの時間に少し余裕を持たせます。境内の木々を眺めたり、近くを散歩したり。お参りの前後にも、落ち着いて過ごせる時間をつくってみます。
帰ったら、訪れた場所や心に残った景色を一行だけ。次の己巳の日に読み返すと、同じ場所の季節の変化も楽しみになります。参拝の記録と、暮らしの振り返りを一緒に残しておくのもよさそうです。
よくある質問
Q. 己巳の日は一年に何回ありますか
六十日に一度なので、一年に六回または七回です。間隔は六十日で一定です。一度カレンダーに印をつければ、次の日も数えられます。
Q. 巳の日と己巳の日は、何が違うのですか
巳の日は日の十二支が巳の日で、十二日ごとに来ます。己巳の日はそこに十干の己が重なった日で、六十日に一度です。同じ蛇の日ですが、回ってくる頻度が五倍違います。
Q. 己巳の日に財布を新しくしてもよいのですか
差し支えありません。ただ、この日の性格は収める側にあるので、買い替えより、いまの財布の中身を整えるほうが日の名前には合います。使い始めの日取りを選びたいなら、寅の日を当てる習わしのほうが古くから伝わっています。
出典
- 各種暦書における六十干支および己巳の日の解説
- 十干十二支と五行の対応に関する一般的な説明