
立て替えたままのお金や、途中で放り出した習い事。心当たりはありませんか。
暦注の重なりは大半が別系統の偶然ですが、この二つだけは決まりのほうから同席が約束されています。 天赦日は季節ごとに決められた干支の日にだけ立ち、春の割り当てが戊寅だからです。春に立つ天赦日は、その日の十二支が寅ということになります。
そして、開運日の重なりはたいてい始めることのほうへ寄っていきますが、この日はそうなりません。二つとも、戻ってくる側を見ているからです。
天赦日と寅の日の重なりがわかる3つのこと
- 春にしか現れません。 天赦日の四つの担当のうち、寅を含むのは春の戊寅だけだからです。
- どちらも帰り道の話をしています。 赦しは済んだことの始末を、寅は出したものの帰りを扱います。
- 新しく立ち上げる日には向きません。 そちらへ使うと、この日の持ち味はかなり薄まります。
出したものを迎えに行く
回収という言葉が似合う一日です。相手が応じるかどうかはこちらの領分ではありませんが、出したままにするか取りに行くかは自分で決められます。春の一日を、その決めごとにあてる形になります。
春のこの日に回収する4つのこと
- 過去に払った受講料や道具の代金を思い出し、まだ使えるものを一つ取り戻します。 期限を調べるだけでも一歩です。
- 途中で放り出した仕事を開き、続きから手をつけます。 最初のページには戻りません。
- 連絡が途切れた相手に、用件だけの短い文を送ってみます。 空白の期間を説明しようとすると送れなくなります。
- 立て替えたまま請求していないお金があれば、この日に伝えます。 催促ではなく、確認の形で構いません。
三つ目と四つ目は、言い出しにくいまま置かれがちなものです。日付を口実にして切り出すというのは、暦の使い方としてはかなり実務的ですが、この日にはよく合います。
借りていた本を返す連絡から
手元に借りたままの本や道具があるなら、返す支度から始める過ごし方もあります。付箋や自分の持ち物が挟まっていないか確かめ、袋へ入れておきます。連絡は「借りていた本を返したいのですが、今週の土曜は都合がよいですか」と用件と候補を短く。相手が選べるよう、別の日も一つ添えると相談しやすくなります。受け取る側だけでなく、こちらから返す一件にも、往って還るという言葉を重ねられます。
責め直す日にしないために
回収という言葉を強く握ると、過去の判断を採点する時間になってしまいます。あの支払いは無駄だった、あの選択が間違いだった。数え上げれば切りがなく、赦しの日にやることとしてはいちばん遠い作業です。
失敗した理由を一行だけ書いて、それを次の条件に足す。そこまでで手を止めておくと、迎えに行く力のほうが残ります。年に数回しかない日だからと大きな決断を押し込む必要もありません。
二つとも、帰り道の話をしている
天赦日が扱うのは、後ろに置いてきた出来事です。前へ進む許可というより、済んだことをどう始末するかという日として語られてきました。
寅の日に添えられる句のほうも、還りに重心があります。虎は千里を往って千里を還る。遠くへ出した虎が帰ってくる、その完結を願う言い方です。出発の日取りに選ばれてきたのも、無事に帰り着くことを第一に願ったからでした。
赦しと帰還。言葉は違っても、どちらも一度出ていったものの行方を話題にしています。往って還るという句が示すのは、出したものが完結するまでには時間がかかるという当たり前の順序でもあります。
春の天赦日だけが寅を兼ねる
季節ごとの担当の干支は、冬が甲子、秋が戊申、夏が甲午、そして春が戊寅。古い暦書に短い句の形で書き残されてきた対応です。四つのうち十二支に寅が入るのは春だけなので、この重なりは春に限られます。
同じ理屈で、冬の天赦日は甲子の日を、秋の天赦日は申の日を兼ねます。
よくある質問
Q. 春の天赦日は必ず寅の日になるのですか
なります。春の担当が戊寅と定められているためです。逆は成り立ちません。寅の日は十二日ごとに来ますが、そのうち戊寅にあたり、かつ春の区切りに入る日だけが天赦日になります。
Q. この日に財布を使い始めてもよいのですか
寅の日が含まれるので筋は通ります。ただ、赦しの側は済んだことの始末を受け持つ日なので、古い財布の中身を整理してから移すと、二つの性格がそろいます。
Q. 貸したお金の話を切り出すのは、失礼になりませんか
確認の形にすれば角が立ちにくくなります。返してほしいと迫るのではなく、あの件はどうなっているかと尋ねる。相手が忘れているだけ、ということも少なくありません。
出典
- 季節ごとに干支を定める天赦日の条件を記した暦注
- 毘沙門天の縁日と虎の伝承に関する一般的な説明