雪の残る庭を背景に、芽吹いた枝を生けた花瓶と剪定ばさみ
春に育てたいことを選び、そのための余白をつくります。
絵を大きく見る

一年の計画を立て直すなら、いつがいいと思いますか。

節切り(せつぎり)の暦では、立春りっしゅんに入る日から新しい月が始まります。節切りとは、二十四節気にじゅうしせっきの「節」で月を区切る数え方のことです。ここが十二か月の並びの先頭なので、暦のうえでは1月1日ではなく、立春の日が年の最初にあたります。

その寅(とら)の月に「庚(かのえ)」が乗った年が、庚寅かのえとら月です。年始に決めたことが薄れかけるころに、暦のほうがもう一度出発点を用意してくれている、と考えると使いやすくなります。

庚寅月がわかる3つのこと

  1. 立春から啓蟄けいちつの前日までが庚寅月です。 2月4日ごろに始まり、3月5日ごろまで続きます。
  2. 暦のうえの元日にあたる日です。 年の干支えとと月の干支が、この日にそろって入れ替わります。
  3. 5年に一度しかめぐってきません。 丙ひのえの年と辛かのとの年の寅月とらづきだけが庚寅になります。

増やす前に、削るほうを先に決める

庚寅は、伸びようとするものに刃を入れる形の組み合わせです。動き出す力と、それを削って形にする力が同じ一か月に入っている、と説明されてきました。

新年度や新学期の支度したくが重なる時期でもあります。やることを足す前に、減らす分と置き場所を決めておくほうが、この時期には合っています。

庚寅月に片づけておきたい4つのこと

  1. 一年分の予定を、増やす方向ではなく減らす方向で並べ直す
  2. 数だけ増えた登録や契約を確かめ、使っていないものを止める
  3. 手をつけていない学びを、教材を一冊だけ買って始める
  4. 玄関や机など、出入でいりの起点きてんになる場所を先に片づける

気温はまだ低い時期です。始まりの月だからと予定を詰めすぎると、体のほうが追いつきません。

斧と、地面を割って出る芽

庚は陽の金で、精錬せいれん前の鉱石こうせきや斧のような硬い金属にたとえられます。寅は五行ごぎょうでは木。金は木を剋(こく)す関係で、剋とは一方がもう一方を抑えることです。庚寅では、上から金が木を抑える形になります。

とはいえ、剋を「悪い」と読むのは早すぎます。伝統的な解説でよく使われるのは、剪定せんていや伐り出しのたとえです。伸びようとする枝に刃を入れて、どこを残すかを決める。 寅は草木が地面を割って出てくる姿を表す支で、方角は東北東とうほくとう、時刻は午前3時から5時、夜明け前を指します。

「庚」は年の干から自動で決まる

月に乗る干は、好きに選べるわけではありません。年の干がわかれば、その年の寅月の干がひとつに定まり、あとは順に送るだけで十二か月分が出そろいます。

この決まりは五虎遁(ごことん)と呼ばれます。寅を虎と読むところから付いた名前です。丙または辛の年なら寅月は庚寅から、甲きのえまたは己つちのとの年なら丙寅ひのえとらから、というように五つの型があります。占う人の裁量さいりょうではなく計算で出る値だと知っておくと、見通しがよくなります。

暦のうえの新年の話は立春にもあります。

暮らしの中で試すなら

年初に立てた目標が多すぎると感じたら、春に続けたいものを一つだけ選びます。読書なら、同じ時間に何となく見ていた画面を閉じ、本を手の届く場所へ置く、といった準備です。予定に短い時間を一枠だけ取り、実際に続けられそうか試してから広げてみましょう。

よくある質問

Q. 庚寅月と2月はどう違いますか

数字の2月はカレンダーの区切りで、庚寅月は太陽の位置で決まる区切りです。始まりが立春、終わりが啓蟄の前日なので、月の頭からずれます。

Q. 立春の日付は毎年同じですか

同じではありません。2月3日から5日のあいだで動きます。太陽の位置で決まるためで、うるう年をはさむと前へ戻ります。

Q. 寅の月が十二か月の先頭なのはなぜですか

古代中国で年の始まりをどの月に置くかが定められ、寅の月を最初とする形が後の暦へ引き継がれたためです。天文の事実というより、決めごとの側に属します。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつ「二十四節気および雑節ざっせつ」
  • 五虎遁(年上起月法ねんじょうきげつほう)に関する四柱推命しちゅうすいめいの一般的な解説