
種をまく前に、まく場所のほうをよく見たことはありますか。
畑から出てきたたとえが、この日は二重になります。一粒万倍日が語るのは籾ひと粒のことで、己巳の日の己は、五行では土にあてられます。種の話と、土の話。もともと同じ場所から来た二つの言い方が、同じ日に並ぶ格好です。
めぐってくる間隔は釣り合っていません。己巳の日は六十干支のうちの一つなので年に六回ほど、一粒万倍日は年に四十回ほど。それでも揃うのは年に一度あるかないかで、しかも初夏に寄ります。
一粒万倍日と己巳の日が並ぶ日でわかる3つのこと
- 己は、五行では土にあてられます。 十干の己は土のうち穏やかな側とされ、ものを収めて育てるほうを受け持つ字です。
- まく前に、受け止める側を見る順序になります。 畦が崩れていれば水は流れ去り、土が乾いていれば種は芽を出しません。
- 揃うのは年に一度あるかないかです。 六十日の周期と選日の表が同じ日を指す機会は限られています。
まく種と、受け止める土
十干の己が担うのは、派手に生み出すほうではなく、受け止めるほうです。ものを収めておく場所、こぼれたものを受ける皿、耕された畑。一粒万倍日が扱うのは、その土に落とすもののほうになります。
二つを並べると、順序の話が見えてきます。まく前に、受け止める側がどうなっているかを確かめるという順序です。 暦の重なりから実際の行いを引き出すなら、この順番をそのまま借りるのが素直でしょう。先に器を見て、それから一粒を置く。逆にすると、まいた覚えだけが残ります。
器を確かめてから一粒を置く4つの手順
- 引き落としの一覧を開いて、使っていないものを一つ止めます。
- 手取りの何割が残っているかを、直近のひと月だけ数えてみます。
- 受け取り口を確かめます。 振込先や請求の形が、いまの暮らしに合っているかどうか。
- そのうえで、続けたいことを一つ選んで初日にします。
前の三つは地味な作業ですが、己の字が受け持つのはこちらの側です。四つ目まで進めなくても構いません。器の点検が終わっただけでも、この重なりの半分は使えています。
年に一度という間隔の使い方
珍しい日だと知ると、今日始めたいことへ気持ちを向けやすくなります。
一年に一度なら、記録を置く場所として使えます。ノートの見開きに、残高と固定費の合計と、その年に始めたことを三つだけ並べておく。次に同じ日がめぐってきたとき、まいたものが土に残っていたかどうかが読み取れます。増えたかどうかより、続いていたかどうかのほうが、あとから見て面白い記録になります。
暮らしの中で試すなら
新しい手仕事を始めるなら、材料を買う前に、途中のものを置く場所を決めてみましょう。次に取り出せる曜日と時間も一つ選びます。収納と時間が用意できたら、最初の作品に必要な分だけそろえます。種を選ぶ前に土を確かめるという読み方は、続けたいことの居場所をつくる手順にも置き換えられます。
よくある質問
Q. 己巳の日と巳の日は、何が違うのですか
巳のつく日は十二支だけで決まるため、十二日ごとにやってきます。己巳の日はそこに十干の己が揃ったときだけを指すので、六十日に一度しか立ちません。
Q. 五行の土というのは、どういう意味ですか
木・火・土・金・水の五つで物事を分ける考え方があり、十干の一つひとつがそのどれかに割り当てられています。己は土にあたり、そのうち穏やかで受け止める側とされます。
Q. この日に何かを始めなければ、もったいないでしょうか
始めなくても差し支えありません。器を点検するだけでも、この重なりの筋には沿います。始める側の目印は一粒万倍日だけでも月に何度かめぐってきます。
出典
- 十干の己と五行の土の対応についての一般的な解説
- 六十干支の巡りを説明した暦書の記述