指輪を置いた小皿と手帳を前に、二人がテーブル上のカードを指して相談する場面
日取りの希望を伝え合い、二人で迎える日の支度へ。
絵を大きく見る

式の日取ひどりを押さえたあとで、別の暦注れきちゅうに気づいたらどうしますか。

六曜ろくようのなかで障さわりが少ないとされる大安は、婚礼こんれいや引き渡し、開店の日に選ばれてきました。会場を予約し、案内を出し、あとは当日を待つばかり。そこでカレンダーの隅に不成就日の文字を見つけると、決めたはずのものが急に揺らぎます。

この取り合わせは、ひと月に一度前後の割で立ちます。 頻度ひんどから言えば、大安たいあんを選んだ人の何人かは行き当たる場面です。

大安と不成就日が並ぶ日でわかる3つのこと

  1. 二つは、知られ方がまるで違います。 大安の名前は誰でも知っていて、もう一方は名前すら知られていないことが多い注記ちゅうきです。
  2. 実務の側が見ているのは六曜だけです。 式場も火葬場も金融機関も、もう一方を理由に予定を組み替えることはありません。
  3. 混雑や費用に響くのも大安の側だけです。 予約の取りにくさも料金の上がり方も、もう一方の注記では動きません。

片方は誰でも知っていて、片方はほとんど知られていない

大安と仏滅ぶつめつの名前は、暦に関心のない人でも知っています。六曜が明治の改暦かいれきで官の暦から外されたあとも、市販のカレンダーに刷られ続けたからです。

もう一方は、同じく民間の暦から伝わりながら、公の暦から一度姿を消した時期があり、いまでも載せていないカレンダーが珍しくありません。共有されている度合いがまるで違うので、日取りの相談で持ち出したとき、相手に届く確率も同じではないのです。

気にしているのは自分か、相手か

日取りの相談でいちばん時間を取られるのは、たいてい説明の部分でしょう。大安が便利なのは、理由をくどくど述べなくても通じるところにあります。ところがもう一方を持ち出すと、まず注記そのものの説明から始めることになります。聞いた側は、それまで抱えていなかった心配をひとつ受け取ります。

ここで分けておきたいのが、自分が気になっているのか、それとも相手が気にしそうだと想像しているのか、という違いです。前者ぜんしゃなら、日を変えるか、気持ちの置き場所を変えるかの二択で済みます。後者こうしゃのまま先回さきまわりして日程を動かすと、動かした理由を誰も知らないまま予定だけが変わってしまいます。

相手のある予定で確かめる4つのこと

  1. どれくらい気になっているかを、言葉にして一行だけ書きます。
  2. 相手が暦注を気にする人かどうか、思い出せる範囲で確かめます。
  3. 会場や担当者には、その日の空き具合だけを聞いてみます。
  4. 変えないと決めたなら、決めた理由を自分のために残しておきます。

相談するときの、短い言い方

相手へ相談するなら、自分の希望と確認したいことを分けて伝えてみます。たとえば「別の暦の名前を見て、私は少し気になっています。日取りについて大切にしたいことはありますか」と聞く形です。すぐに変更の話へ進まず、まず互いの受け止め方を聞きます。日を見直すことになったら、候補日と会場の空き、連絡が必要な人を並べて相談する。話し終えたときに次の一手が一つ決まっていると、支度したくへ気持ちを戻しやすくなります。

心配の置き場所を整える

六曜を用いない宗派しゅうはもあり、暦注との距離は立場によってずいぶん違います。浄土真宗じょうどしんしゅうは、日の吉凶きっきょうで行いを決めないという考え方をはっきり示しています。全員が同じ物差ものさしを持っている前提で話すと、かえって行き違いが起きます。

日取りに迷うときは、準備の進み具合や一緒に過ごす人の都合も考えてみます。動かせる余地があると知ったせいで、かえって気になり続けることもあります。すでに決まっている日を心地よく迎えるための支度に時間を使うほうが、あとから振り返って残るものは多いはずです。

よくある質問

Q. 予約済みの結婚式の日を、変えたほうがよいですか

変えなくても差し支えありません。式場の空きも費用も六曜で動くので、日程を組み替える手間のわりに得られるものが少なくなりがちです。

Q. 式場や火葬場は、不成就日を見ているのですか

見ていません。友引ともびきに休みを設けている火葬場はありますが、もう一方の注記を理由に予定を組み替える施設は見当たりません。実務が参照しているのは、ほぼ六曜に限られます。

Q. 相手方にこのことを伝えるべきでしょうか

伝えると、それまで気にしていなかった心配を相手に渡すことになります。自分が気にしているだけなら、黙って進めるほうが穏やかに収まる場面も多いはずです。

出典

  • 明治の改暦と暦注の扱いに関する国立天文台の解説
  • 六曜への向き合い方をめぐる宗派ごとの見解けんかいについての説明