白い月の印を二つ置いた予定帳と、折り畳んだ風景地図
二度目の見直しでは、前に決めた理由から読み返してみる。
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先に書いておくと、この夜の月は青くありません。

ブルームーンという呼び名は、色の記述ではなく数え方の話です。同じ月に満月が二度巡ってきたときの、二度目のほうを指し、五月の終わりに射手座いてざで満ちる満月がそれにあたる年があり、そういう年には五月に二回、丸い月を見上げることになります。

ブルームーンがわかる3つのこと

  1. 色ではなく、数え方の呼び名です。 ひと月に満月が二回あったときの、二回目を指します。
  2. 定義ていぎはふたつ並んでいます。 古い流儀りゅうぎでは、ひとつの季節に満月が四回入ったときの三番目を指しました。
  3. 二年から三年に一度は起こります。 名前ほどにはめずらしくない出来事です。

一九四六年の読み違いから広まった

面白いのは、いま広く使われている数え方が誤解から生まれているところです。

古い流儀は、一九三〇年代のアメリカ、メイン州の農事暦のうじれきで使われていたものでした。三番目を選ぶという分かりにくさには理由があります。暦のうえで名前の決まっている満月の並びを崩さずに、余分な一回を差し込むための工夫だったとされます。

一九四六年、アメリカの天文雑誌スカイ・アンド・テレスコープに、ジェームズ・ヒュー・プルーエットという寄稿きこう者が短い解説を書きました。彼は先の農事暦の記述を参照したものの、手元の資料が足りず、規則を「ひと月に二回目の満月」と読み取ってしまいます。この記述はその後、一九八〇年のラジオ番組や、一九八〇年代の一般向けのゲームを通して定着していきました。誤りだと分かったのは半世紀ほどあと、一九九九年に同じ雑誌が経緯けいいを報告しています。

つまり、いま多くの人が使っている定義は、誤読ごどくが広まってそのまま慣用かんようになったものです。訂正されてからも置き換わらなかったのは、こちらのほうが数えやすかったからでしょう。言葉の意味が、正しさではなく使いやすさで決まっていく。射手座は意味づけを担う星座とされるので、この夜に添えるにはよくできた話です。

なお、英語の once in a blue moon という言い方は、これよりずっと古くからあります。十六世紀の文献ぶんけんにすでに、月が青いという主張をありえないことの例として使った箇所が見られます。もともとは「起こりえない」に近い意味で、そこから「めったにない」へ移っていったと説明されます。

本当に青く見えた記録

では月が青く見えることはないのか、というと、記録は残っています。

一八八三年のクラカタウの噴火のあと、世界各地で青や緑に見える月が観測されました。一九五〇年にはカナダ、アルバータ州の大規模な森林火災の煙が同じ現象を起こしています。仕組みは大気中の粒子りゅうしの大きさにあります。ちりや煙の粒がある特定の大きさにそろうと、赤い光をよく散らすようになり、通り抜けてくる光から赤みが抜け、結果として月が青みを帯びて見えます。

条件が厳しいので、狙って見られるものではありません。ただ、青い月が完全な作り話ではなかったという点は覚えておくと面白いところです。

年によっては、この満月にもうひとつの条件が重なります。地球からもっとも離れた位置の近くで満ちる、いわゆるマイクロムーンです。二〇二六年五月の二度目の満月がこれにあたり、平均的な満月より直径で五パーセントあまり小さく、一割ほど暗いと見積もられています。特別な呼び名が付いた夜に、その年でいちばん小ぶりな満月が来る。 呼び名は月の側の性質ではなく、こちら側の数え方から生まれるものだと分かります。

同じ場所で迷い続けたことを開く

二度目の満月という設定は、二度目の見直しに使うのが素直な流れです。

結論を更新する4つの手順

  1. 去年から今年にかけて、一度考えて結論を出したことをひとつ思い出す
  2. その結論が、いまも同じ形で自分に合っているかを確かめる
  3. 合わないと感じたなら、どこがずれたのかを一行で書く
  4. まだ迷っている件について、迷っている理由を一語にしてみる

二つめが要になります。人は一度決めたことを、決め直すのが苦手です。決め直すと前の判断が間違いだったことになる気がするからでしょう。実際には、条件が変わったので更新した、というだけの話です。射手座は前へ進むことを好む星座とされますが、進んだ先で地図を書き換えることも同じ方向の動きになります。

四つめで出てきた一語が「情報が足りない」なら、調べれば済みます。「怖い」なら、まだ時期ではないのかもしれません。「面倒」なら、規模を小さくすれば動き出せます。理由の名前が変われば、次の手も変わります。

めったにない日を、待たない

ブルームーンには、幸運を招く夜という説明が付けられることがあります。

ひと月に二回の満月は、二年から三年に一度は回ってくる計算です。特別な名前が付いた日を待って願いをかける習慣そのものは楽しいものですが、その日でなければ動けないと感じるようになると、待つ時間のほうが長くなります。めったにない幸運を受け取る日と考えるより、めったにやらない見直しをする日と考えるほうが手ごたえがあるはずです。

信念の更新については引き寄せの法則のページへ。信じることをやめる必要はなく、期限や条件を書き添えるだけで扱いやすくなります。

二度目の行き先を、一行で

過ごし方は簡単です。前に同じテーマで書いたものがあれば、それを読み返してください。手帳でも、写真でも構いません。

書き足すのは三行です。まだ残っていた思い込み、いまの自分が選び直す行き先、今回はやらないと決めたこと。三行目があると、二度目の選択が前回の繰り返しになりません。青くない月の下で、名前ではなく中身のほうを決める夜にしてみてください。

暮らしの中で試すなら

見直す題材には、以前見送った習い事などが向いています。そのときは通う時間がなかったのか、費用が気になったのか、理由を思い出してみましょう。今の予定と照らして同じ条件が残っていれば、見送る判断を続けてもよいのです。変わった条件があるときだけ、見学の日を調べるなど小さな一歩を足します。

よくある質問

Q. ブルームーンは何年に一度ですか

二年から三年に一度の割合で巡ってきます。ひと月の日数と月の満ち欠けの周期のずれが積み重なって起こる現象です。

Q. 古い定義と新しい定義、どちらが正しいのですか

由来としては季節の三番目を指すほうが古い形です。ただ、現在はひと月に二回目とする数え方が広く使われています。

Q. 青い月は肉眼で見られますか

大規模な噴火や森林火災で大気の粒子がそろったときに限られます。条件が厳しく、狙って見られるものではありません。

出典

  • 国立天文台 暦計算室こよみけいさんしつによる望の日時および月と地球の距離の計算
  • スカイ・アンド・テレスコープ誌一九四六年三月号および一九九九年三月号によるブルームーンの定義をめぐる記述
  • 一九三〇年代のメイン州農事暦における季節の三番目の満月という数え方についての調査
  • クラカタウ噴火および一九五〇年の森林火災に伴う青い月の観測記録