天気を確認しただけのはずが、ニュースを開き、友人の投稿を見て、おすすめの動画へ。スマートフォンを置いたとき、何を調べようとしていたのか思い出せない。そんな時間はありませんか。
画面の向こうを追いかけていた気持ちを、今いる部屋へ。椅子の感触やカップの温度を確かめながら、五分ほど過ごしてみます。次にする用事を一つ選ぶところまでが、今日の小さな休憩です。
この記事の目次
まずは、座っている場所から
今いる場所や体の感覚へ注意を戻す方法は、「グラウンディング」と呼ばれています。WHOのストレス対処ガイドやNHS informの解説でも紹介されています。
用意するものは、楽に過ごせる場所。足裏と床、背中と椅子、手元の布など、今の自分が確かめやすいものを選べます。目を開けたまま、呼吸もいつものままで始められます。

最初の一分。あとで見る時刻を決める
気になる記事が残っていたら、一つだけ保存して画面を閉じます。「五分後に必要な連絡を確認しよう」と戻る時刻を決めておくと、ひと区切りつけやすくなります。
家族の緊急連絡や、仕事ですぐ応答する必要のある着信は受け取れるように。タイマーは使っても、時計を一度見るだけでも。自分が休憩を取りやすい形を選びます。
足元と椅子を、確かめる
足の下に床がある。背中が背もたれに触れている。楽に感じ取れる接点を一つ見つけます。座りづらければ、体の位置を少し変えてみてください。
体へ注意を向けるのがつらいときは、この段階を飛ばして、目の前の色や形へ。手元のハンカチに触れる方法もあります。
部屋の中に、三つ見つける
青いカップ。四角い窓。丸い時計。顔を上げて、部屋にある物の特徴を三つ探します。
片づけたい物が目に入っても、今は形や色を確かめるところまで。「白い紙が、机の左にある」。それくらいの短い言葉で眺めてみます。
見え方や聞こえ方に合わせて、使いやすい感覚を選べます。音が気になる日は、目で追える物や手触りへ。さっきの投稿を思い出したら、またカップや窓へ目を戻します。
手元の物を、一度ゆっくり扱う
ハンカチを折り目に沿ってたたむ。カップの持ち手に指を添え、熱さを確かめて一口飲む。いつもの動作を、一つ終わるところまで。
道具を探しに立たなくても、その場にある物でできます。布の端をそろえる、カップを机へ戻す。小さな動作にも、始まりと終わりがあります。
最後の一分。次の用事を一つ
水を飲む。昼食を用意する。必要な一件へ返事をする。もう少し休む。五分のあとにしたいことを、一つ選びます。
「気になっている記事は夕方に読む。先にお昼にしよう」。こうして順番が決まれば、スマートフォンを置いたあとの時間を、自分で使えます。

通知も、一種類だけ見直してみる
休憩を取っても、すぐに呼び戻される。そんな日は、届く通知の種類を見てみます。2015年のStothartらの実験では、携帯電話を操作していなくても、着信などの通知によって注意を必要とする課題の成績が妨げられました。研究の抄録
必要な連絡を残しながら、おすすめ動画や販売案内を一種類だけ止める。まとめて確認できる連絡には、見る時刻を決める。数日過ごして、使いやすい設定へ調整できます。
家族の世話や仕事で一人になれない日は、椅子の感触を確かめるところだけでも。見守りが必要なときは周囲を見ながら、安全に座れる場所で行ってください。
五分のあとにも、続く暮らしへ
カップを洗う音や、昼食の湯気。画面の外にも、今日の時間が流れています。気になっていることを抱えたままでも、ひとまず次の動作へ進めます。
夜の過ごし方を考えたいときは、心をほどく帰宅後の習慣へ。予定を減らしたくなったら、秋分の小さな棚卸しも読んでみてください。
参考にした資料
- WHO (2020). Doing What Matters in Times of Stress — ストレス対処と、体・周囲への注意。
- NHS inform Grounding exercises — 感覚を確かめるグラウンディングの案内。
- Stothart, C. et al. (2015). The attentional cost of receiving a cell phone notification — 通知と注意課題に関する実験。
